動画編集や音楽制作など音声を扱う制作現場に必須な「モニターヘッドフォン」ですが、その中でもオーディオテクニカのATH-M50xはAmazonで万単位のレビューがなされ、いつの間にか有名機種と扱われるようになったもののひとつ。
仕事レベルの映像制作と趣味レベルの音楽制作でATH-M50xを約8年使い続けている僕(@magmagbot)が使用感と長期間使って分かったことをこの記事でまとめて共有します。
先にATH-M50xの簡単な結論
- モニター(制作用途)としての性能は十分。低音の表現力が高め。
- 制作だけでなく、普段使いでも疲れにくく使いやすいという点で高コスパ
- 動画制作や音楽制作に利用するなら900STよりM50xをオススメします
- 記事の更新履歴
- 2020年 記事投稿
- 2023年2月 8年間の使用を踏まえたレビューに更新
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ATH-M50xの概要
レビューの前に、最初にざっくりとカタログスペックの中で必要な情報をまとめておきます。
- 密閉型
- 重量285g(コード除く)
- 付属コード:1.2mカールコード・1.2mストレートコード・3mストレートコード
- その他付属:ポーチ
オーディオテクニカが販売するモニターヘッドホンATH-M○○xシリーズはグレード別に7種類。
20 < 30 < 40 < 50 < 60 < 70
Mの後の数字は20,30,40,50,60,70の6種類あり、数字が大きい方がハイグレードです。これに加えて開放型ヘッドホンの"R"70xがあります。これらのうち今回レビューするM50xは1番の売れ筋です。
ATH-M50xを8年使った感想・レビュー
結論だけ言うと満足しており、今でも現域で使っています。音の品質は十分。自分の場合は長時間着用しても疲れはなし、ただし個人差はあるらしい。家での作業でも外へ持ち出したい時も、DJとかもヘッドホンはこれひとつでオーケー。
長期間使うなら修理費用はかかるが、回避する工夫も可能
まず、ヘッドホンというものは長年使っていると修理は必要になってきます。
上の写真を見ると分かる通り、ヘッドホンバンド、イヤーパッドともに剥がれてボロボロの状態。個人差はあれど、毎日使うならイヤーパッドは約2年、ヘッドバンドは約4年あれば交換したい程度にボロボロになるでしょう。純正イヤーパッドのお値段はおよそ3,300円、純正ヘッドバンドは6,600円でオーディオテクニカの公式サイトから購入できるのですが、ヘッドバンドは配送修理対応となるので要注意。
僕の場合はイヤーパッドは3度、ヘッドバンドは1度純正のものに取り替えています。1.6万円で8年間維持できるなら安いものだと思いますがいかがでしょう。
修理費用が気になるのであれば、以下のようなサードパーティー製のカバーを買ってあらかじめ装着しておくだけで将来かかる費用を簡単に抑えることができます。僕は見た目のデザインを大切にしたいタイプなのでカバーは使わずに使用しています。
僕の場合、購入して7年8ヶ月でヒンジ部分も修理したのですが、ヘッドホンの心臓であり最も高価なパーツであるドライバー(音が出る部分)は未だに問題なく使えており、総合してM50xは十分な堅牢さを備えていると感じています。
ATH-M50xはモニターヘッドフォンとして十分に高い解像度
モニターヘッドホンを謳うここまで有名な2万円のヘッドホンとなれば、モニター用の能力は説明するまでもなく十分ですが、ここで気になるのは時に業界標準とも言われるソニーのモニターヘッドホンMDR-CD900STとの違いです。
900STと比較してするとM50xは低音の表現が豊かな印象を受けます。さらに900STにある高音帯の疲れるようなキツさがなく、長時間のリスニング用にも使えます。
M50xに限らず昨今のモニターヘッドホンは全体的に低音強めな感じしませんか?その結果、M50xの低音の具合が普通で、相対的に900STの低音が弱いのでは?とも思います。音楽制作で低音域の作りこみをしたいと思ったら900STだと苦戦しそう。
普段使いにも転用しやすい機能・付属品
長さ違いのコードが入っているのが地味なようでとても便利。用途を広げてくれます。
付属するコードは以下の3種類。
- 1.2mコード
- 3.0mコード
- 1.2mカールコード
これのおかげで、普段使いから外への持ち出しまでこのヘッドフォンひとつで済んでしまいます。一番短い1.2mコードを繋げたら外に持ち出せるし、カールコードを繋げばヘッドホンを繋いだままデスクの付近を歩き放題です。もしコードが切れてもコード部分だけ買い換えれば解決。
少し話がズレますが、2019年の秋には出荷台数が100万台を突破しています。さらにレビューの物量の多さ。日本アマゾンでのレビュー件数が13,000件、米アマゾンのレビュー件数は14,000件です。平均評価はいずれも高く星4以上。自分が購入した頃はそこまで勢いはなかったので結果論にはなりますが、ユーザーが多さは信頼の裏返しです。
ATH-M50x - カタチのデザイン
ヘッドホンは制作現場はもちろん、日常のリスニングからファッションまで、いろいろな多面性を持つ製品です。デザインされるヘッドホンのひとつひとつはそれぞれがどのような場で使われるのか想像して作られているはずです。
M50xの見た目を見て、どこで誰が何に使っているか想像できますか?beatsのようなファッション感は感じられず、一方でスタジオに置いてある金属剥き出しの900STのような「業務用感」「無骨感」を感じられるわけでもなく・・・。M50xが使われているシーンを想像しにくいんですよね。
いい感じのファッションしながらbeatsのヘッドフォンを首にかけて渋谷を歩いている人の姿は容易に想像できますが、900STを首にかけている姿は全く想像できません。そんなことをしている人がいたら多分労働過多かなんかで疲弊してヘッドフォンを外し忘れて外に出てしまったサウンドエンジニアかなんかだと思います。労ってあげましょう。知らんけど。
M50xには「こういうところで使っている感」、「らしさ」があまりないんですよね。その「らしさ」が感じられないのは、その言葉を聞くと悪いようかもしれません。しかしそれには「どこで使っていても違和感がない」と考えることもできます。
これはこだわりを持とうとすると魅力がないけどコスパの観点からすると都合がいい。どこでも使えますから。上述した本体付属の多彩なコードも相まって、1本でどんな使い方でもできてしまう高コスパヘッドホンになっているといえます。
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M50xの限定色を購入する際の注意点
カラーリングは基本色2種「ブラック」「ホワイト」のほか、限定色がいくつか発売されています。ちなみに僕が使っているのは2015年の限定色「グリーン×ブラウン」(ATH-M50xDG)です。写真だとブラックに見えるかもしれませんが肉眼で見るとなかなか良い色合いです。今も断続的に限定色が登場しているようなので人と違う色を手にしたい人は要チェック。
限定色は生産終了後、その色の修理部品が無くなってしまえば修理を受けられなくなる点には注意が必要です。8年前の限定色モデルを修理見積もりに出したところ、「修理部品は僅少&見積もり中に在庫切れしたら修理を受けられなくなるのでご了承ください」という案内を受けました。販売5年以上経ったらあまり期待しないほうがいいかもしれません。
ATH-M50xは幅広く扱える高コスパヘッドホン【ATH-Mシリーズの選び方】
ATH-M50xは性能で見ても利便性で見ても1台で幅広く活用できる高コスパヘッドホンです。
これから音声を扱う制作を始めたい人・・・映像で収入を得たい人や音楽制作を趣味としてやっていきたい人がミドルレンジの価格帯で間違いない一本を選ぶのであれば、このATH-M50xはかなり良い選択肢のよう思えます。
とはいえ値段は2万円近くと決して安くはありません。もし廉価モデルのM40x,M30x,M20xを検討するのであれば、M40xにすることを強くオススメします。
その理由は、M40x以上のケーブルとヘッドホン本体は分離できるのですが、M30x未満は一体化してしまっているから。ヘッドホンが故障する原因として一番多いと言われるケーブルが断線してしまった時にケーブルの購入費用だけで済ませられるか、ヘッドホンごと買い替えが必要になるかの違いは大きいです。