怪しいくらいに激安なコンデンサーマイク『MPM-1000』をご存知でしょうか。
今でこそ口コミで有名になりつつありますが、僕が購入した当初(2019年春)は怪しさに溢れたノーブランド激安中華商品の一部って感じでした。お値段たったの5,832円。本当はマランツプロフェッショナルっていうアメリカのブランドなんですけどね。
2019年当時どうしてもお金がなかったのでダメ元で購入してみたところ、驚くほど高い品質で驚いた記憶があります。そのまま1年使い続けているので、耐久性まで含めてレビューしたいと思います。MPM-1000の長期使用レビューは恐らく珍しいはず?
MPM-1000の基本性能・概要
レビューの前にカタログスペックをざっくりチェックしておきます。
- 約165 x 48mm 約300g
- Output:200Ω ±30%(@ 1 kHz)、Load: ≥1000Ω
- カーディオイド指向
- ウインドスクリーン、ショックマウント、デスクトップスタンド、XLRケーブル付属
- 周波数帯: 20Hz〜20kHz
細かい数値は使用感や実際の音質と比較してあてにならなかったりする(実際の使用感は後述)ので、ここで取り上げるのは指向性と付属品。
カーディオイド指向とは
カーディオイド指向は、マイクの指向性の一種。カーディオイドを直訳すると「心臓」。
指向性とは・・・
マイクの音を拾いやすい方向が場所によって差異があることを「指向性がある」といいます。
カーディオイドの指向性は図に表すと画像のような感じ。比較用にカーディオイドよりやや指向性が低いもの、高いものも図示しています。
カーディオイドの場合、マイクの背面の音を拾いにくくなります。実際、僕はMacbookのファンがブンブン唸っている手前にMPM-1000を設置していますが、普通に喋りを録音する分にはよく耳を澄まさなければ気にならない程度にファン音が小さくなっています。ボーカルの収録など、よりノイズに敏感にならなくてはならない場面では、さすがに消したい程度のノイズ量になるので、『iZotope RX 7』のようなノイズ除去ソフトを通すことになります。
かといってマイクの正面から少しずれた程度では声は小さくなることがなく、程よく指向性の幅を持たせてくれています。
「ある程度雑音のある自宅環境でのノイズ対策」と「マイクに対して喋る位置・角度をそこまで気にしなくて良いカジュアルさ」を程よくトレードオフできていると思います。
もし指向性についてよく分からなかったりこだわりがないのであれば、カーディオイドはコンデンサーマイクとして最も多く流通しているものなので、「とりあえず間違いではない」程度に思っておいていいでしょう。
付属品はMPM-1000を買うだけで「とりあえず機能する」状態になる程度のもの。期待のしすぎは禁物。
MPM-1000の付属品は以下の通り
- ウインドスクリーン
- ショックマウント
- デスクトップスタンド
- マイクとオーディオインターフェースを繋ぐXLRケーブル。
マイクを使うには本来スタンドやケーブル等いろいろなアクセサリが必要。
しかしMPM-1000であれば、「本体だけ買えばオーディオインターフェースに挿してすぐ使い始められてしまう」ほどにアクセサリが充実しています。
パッと見るとかなり豪華ですが、「僕が実際に使っている」=「実用に耐えうる」ように感じたはXLRケーブルとショックマウントの2つのみです。
ウィンドスクリーンは分厚いスポンジ状のもの。(画像参照)ブラックキッコロ状態。
これを使うと声が少しだけ「もごっと」なります。喋るだけなら十分かもしれませんが、歌うなら別のマイクポップを買ったほうがいいでしょう。
僕はMPM-1000同様ケチって激安中華マイクポップガードを買いました。MPM-1000にちょうどフィットするサイズ感で「実はMPM-1000用に作ったんじゃ・・・?」と思ってしまいます。オススメです。
MPM-1000付属のマイクスタンドは買ってからこの1年でどこかに無くしてしまったので公式サイトから画像をお借りします。
マイクスタンドは3分岐した足がかなり柔らかい。ふにゃふにゃです。とりあえずマイク本体を宙に浮かせてマイクとして使うことはできるのですが、以下2点の理由「①マイクの高さも極端に低くなってしまうこと」「②スタンドが柔で不安定なこと」により、スタンドは別のものを購入されることをおすすめします。
スタンドに関しても激安中華...安物のマイクアームスタンドを使っているのですが、十分使用に耐えています。
僕が購入したのは『Verkstar マイクスタンド』という商品名で999円のノーブランド中華品。高価な製品と比較して安定感が無いのですが、安価なマイクアームはアームが短いのでそもそも安定感が気にならないというカラクリです。僕が買ったモノは商品ページが消えてしまったようなので、以下に類似の製品を紹介します。
いくつかMPM-1000をディスるような書き方にはなってしまいましたが、MPM-1000が家に届いたら中に入っている機材を広げてオーディオインターフェースに繋ぐだけですぐに試せるというのはユーザー体験としてなかなか魅力的でしょう。購入した当時、家に届いてから実際に声を聞くまでの流れが楽しかったことは今でも覚えています。
MPM-1000 を1年使った感想
僕がMPM-1000で使った用途は、SNS/Youtube向けの喋りの録音、Discord/Zoom等での通話、ボーカル収録の3通りです。
音質はYoutube収録、Discord通話には十分。ボーカル収録なら工夫が必要。
人によって求めるレベルが違うと思うので、あくまで僕の場合の話だと思って参考にしていただけると嬉しいです。
Youtube動画といっても色々ありますが、情報を伝えることを目的にしたものであれば違和感の無いレベルで収録できます。Youtube動画の多くを占めるiPhoneの内蔵マイクを使った動画とはかなり差をつけられるはず。
一方声優さんのポッドキャストやボーカルの収録など、声が主役のコンテンツに使いたい場合、生音をそのまま使うのは厳しいレベルであるように感じます。
MPM-1000は特に中高音域がスカスカする印象。6,000円という価格を考慮すれば高コスパな音質ではあると思いますが、音楽を聞く人にとってはそんなことは関係ありません。
ノイズ処理は当然、ボーカル収録ならいわゆるケロケロ系の加工やリバーブ処理をするなど、エフェクトを掛ける前提であればボーカル用途でも選択の余地は残りそう。
丸1年デスクに出しっぱなしでも悪くなる気配はない
コンデンサーマイクはきちんと管理しないと壊れてしまうという話がよくありますが、とりあえず僕のMPM-1000はデスクに出しっぱなしでも元気に音を拾ってくれます。
一見品質の良い安物は壊れるときに壊れる印象があるので少し驚いています。
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MPM-1000 カタチのデザイン
このブログで製品レビューをするときはプロダクトの形「スタイリング」をレビューしています。よろしかったら少しお付き合いください。
コンデンサーマイクってほとんどは円筒形か丸みを帯びた立方体ですよね。これは単純にショックマウントにサイズ感が合うように、という立派な理由があると思うのですが、これが理由でほとんどのコンデンサーマイクは似たりよったりの形状になってしまっています。でもこれだとマイクの性能以外・・・例えば形がかっこいい!とか、なにか面白い利用法があるとかで差をつけられないんですよね。
一方、マイクスタンドまでセットにすることで、オリジナリティのある形をしたマイクもいくつか発売されるようになりました。
例えばBlue Microphones Snowball iCE USB。
完全にまんまるという、マイクとは思えない形状でちょっとしたインテリアにもなりそう。
こういったデザインがされたマイクってこれから売れるようになる「穴場」だと思うんですよね。
その理由を少し話します。
プラスマイナスゼロの加湿器ってご存知ですか?今や加湿器は様々な形をしたオシャレな製品がありますが、昔はどれも四角い形に排出口を備え付けた「工業製品!」って感じのものばかりでした。そんな中で発売されたのがプラスマイナスゼロの『スチーム式加湿器』。
これがヒットしてから「加湿器って色々あっても良いんだ!」と色んな人・企業は気がついて、実際に色々な加湿器が発売されるようになったんですよね。
コンデンサーマイクは、加湿器で言うところの「プラスマイナスゼロの加湿器が発売される前段階」にあるような気がします。
コンデンサーマイクは加湿器と違って一般に広く普及するものじゃないから同じようにはいかないと思われる人もいるかも知れません。しかし、私は、今がコンデンサーマイクがプロのモノから一般のモノになる過渡期だと思います。プロ向け用品だったコンデンサーマイクはPCやSNSの普及、更にZoomなどを使ったテレワークのの普及によって一般人が手にするようになりました。
となると、業務用としての互換性など(ショックマウントとか)を気にしない、形や使い方がデザインされたコンデンサーマイクが出てきてもおかしくないはずです。
どの企業が、プラスマイナスゼロの加湿器の役割に相当する、コンデンサーマイクのデザインに対する考え方を爆発させてくれるような製品をぶっこんでくれるのか、楽しみです。なんなら自分も作ってみたい。
MPM-1000はトンデモコスパなコンデンサーマイク
MPM-1000はYoutube収録や通話には十分な性能のコンデンサーマイクです。6,000~7,000 円程度の価格帯を考えると、とんでもなく高レベルのマイクだと思います。
低価格帯でコンデンサーマイクが欲しいなら検討する価値のある良い選択肢でしょう。
特にYoutubeでPCやスマホのマイクをそのまま使って録音して投稿されている方におすすめしたいです。自宅で撮影・録音しているのであればこの6,000円を足すだけでかなり品質が上がると思います。音楽などの用途でも、予算1万円以下といった金銭面の縛りがあるならこのマイクは選択肢には残ります...が、コンデンサーマイクより安価なダイナミックマイクも候補に入れて比較検討してみる必要はありそう。
オーディオインターフェースを挟まずに直接USBでPCに接続できるモデル『MPM-1000U』も販売されています。Youtube収録や通話が目的でオーディオインターフェースを持っていない方であればこちらも十分選択肢に入るはずです。(MPM-1000をPCに接続するにはオーディオインターフェースが必要です。)
マイクを使うならヘッドホンも。僕が使っているオーディオテクニカATH-M50xのレビューはこちらです。結論を言ってしまうとオススメできる間違いない選択肢なのですが、価格が少し張ってしまうので全員が買えばいい!というものでもありません。お財布と相談しながら検討してみて下さい。
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オーディオテクニカ『ATH-M50x』の8年長期使用レビュー【コスパ重視な動画編集や音楽制作の適解】
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