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アイデアの引き出し

『サステナブル』とは? 解説&日本特有の問題とデザイン事例

社会や政治から、ファッションなど文化の場まで、聞く機会が多くなった「サステナブル」という言葉。「サスティナブル」とも言われます。英語(Sustainable)を直訳すると「持続可能な」という意味です。

「サステナブルデザイン」「サステナブルファッション」という言葉も多く使われるようになり、製品や企画の場でも扱われるようになっています。

ニュースでサステナブルを見聞きして、環境問題に関するものだということは何となく理解出来るのですが、環境問題その中身は二酸化炭素排出や動物保護、資源利用など多岐にわたります。

この記事では、環境問題の中でも「サステナブル」という言葉で語られる問題の中身を整理して共有します。また、世界と比較した日本の違い、そして、実際に私達は生活の中で何ができるのか、ビジネスでどう活かせるのか(デザイン事例)を調べたので、ここで共有します

  • この記事を読むと分かること
    • 「サステナブル」「サステナブル社会」の意味
    • 「サステナブル」として実際に世界で話題にされていること
    • 問題をプロダクトに落とし込んだ国内のデザイン事例
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まぐです。デザインや映像を扱う東京在住のフリーランス。デザインの独学や仕事道具、フリーランスの生活術・節約術を発信しています。

「サステナブル」とはなにか。

まずここで、この言葉の発祥だけ確認しておきます。

一番最初にサステナブルという言葉が使われ始めたのは1984年。国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が言い出した言葉です。持続可能な開発(Sustainable Development)という言葉を、「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発」と説明しています。

参考:外務省 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/sogo/kaihatsu.html

端的に言うと、未来の世代まで資源や環境を受け継つげるような暮らしをしましょう、ということ。

では具体的に何が問題なのかというと、石油、石炭など「資源」、大気汚染や海洋プラごみ問題を含む「環境汚染」に、飢餓問題のような「社会問題」まで含まれ、挙げられるものはかなり多いです。よって、生活や仕事の場で応用するには、たくさんある問題のひとつひとつを取り出して扱う必要があります。ひとつの行動や製品で解決できることではありません。

実際のところ、サステナブルという言葉のもとで語られる問題には『流行』がある、というのが僕が調べて分かったこと。なので流行を知ることがサステナブルを活用することに重要なことでしょう。国内外で関心の高い問題」であれば、批判や支持をされる機会が増えますから。

最近、世界で多く取り上げられているのは「プラスチックゴミ/海洋プラスチックごみ」次いで「ヴィーガン」でしょう。

話題性の高い2つのサステナブルに関する問題

紙製ストローの採用やビニール袋の有料化のニュースが記憶に新しいと思います。このような大きな話題を生んだきっかけは「プラスチックゴミ/海洋プラスチックごみ」問題が世界的にトレンドになっていることです。

プラスチックごみ/海洋プラスチックごみ

プラスチックの利用による問題はかなり前から指摘されていましたが、もともとは限りある資源の枯渇を危惧しての問題でした。しかし、ここ数年でプラスチックごみが話題になったきっかけは資源の枯渇ではなく、海洋プラスチックごみの問題です。

海洋プラスチックごみによる被害とは、海に流出したプラスチックごみを海洋生物が飲み込んでしまったりすること。クジラの死骸から大量のプラスチックごみが出てきたというニュースは国内でも話題になってますよね。

さらに漁業や観光にも被害を及ぼします。多くの外国人観光客が訪れるインドネシア/バリ島の砂浜がプラスチックゴミでいっぱいになっている様子は何度も報道されていますね。(ちなみに、住民の努力あって現在のバリ島ではプラスチックごみを見る機会はかなり少なくなっています。僕は2019年に訪れたのですが、観光の中心地「クタ」と、離れた「レンボンガン島」は、どちらもきれいでした。)

既に世界各国で使い捨てプラスチックへの取り組みが行われているのですが、様々な使い捨てプラスチック製品がある中でなぜかレジ袋の規制だけが圧倒的に進んでいます。2018年にレジ袋を有料化・禁止されている国は50カ国以上で、日本のレジ袋有料化もそのひとつだと言えます。

海洋プラスチックごみの中でも、洗顔料のスクラブ(マイクロビーズ)のような、回収できないほど小さなプラスチックごみのことを指すマイクロプラスチックごみは特段大きく批判されています。マイクロビーズを含む化粧品を排除する流れは既に世界で起きており、アメリカ・韓国・フランス・イギリス等々では法律で既に販売が禁止されているほどです。また、大きなプラスチックごみでも海に揉まれて砕ければ最終的にはマイクロプラスチックごみ(二次マイクロプラスチックと呼ばれる)になっててまうので、早期での回収が重要です。

ここまで、海洋プラスチックごみが及ぼす被害を説明しました。では、実際にどれほどのプラスチックが出ているのか。世界で流出するプラスチックごみの総量は毎年800万トンと推定されています。(ソース)そのごみの排出を減らすことで、流出をなくそう、というのがプラスチックごみに対する考え方です。

この項の参考:海洋プラスチックごみについて/環境省

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実はサステナブルの一部である「ヴィーガン」は、飢餓問題と環境破壊に関連。

もう一つ、サステナブルに通ずるトレンドになっているのはヴィーガンでしょう。そもそも「ヴィーガン」の辞書的意味合いは、動物由来の食物を食べないこと。ベジタリアンには種類があって、「乳製品は食べる」「卵や乳製品は食べる」などとありますがヴィーガンは完全に植物性のものしか口にしないものを指します。

しかし今日、サステナブル社会に通ずる理由で菜食をすることをヴィーガンとして取り上げられることが多くなりました。私はそもそも菜食主義と環境問題・社会問題に関係があるとは思っていなかったので、初めて知ったときは驚きました。

ヴィーガンについては以下の記事で既に解説しているので、そちらをご覧ください。

ヴィーガンとは?ベジタリアンとの違いも【実は合理的なヴィーガンの理由と、まだ浸透しない日本でのデザイン例】

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日本と海外の温度差と考え方の違い・批判

日本のプラスチックの使用量とリサイクル率はどれほどでしょうか。先に結論を言ってしまうとかなり苦しい状況です。使用量から順番に解説します。

日本のプラスチック使用量【一人あたりの破棄量は世界2位】

日本での一人あたりのプラスチック廃棄量は35キログラム(2017年)で、世界と比較するとアメリカの45キログラムに次いで2番目に多い(!)です。普段生活している分にはそれが普通に感じるので分からなかったのですが、実際は相当なプラスチック消費大国でした。(ソース:https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf

日本でのプラスチックリサイクルの現状【国内でリサイクルできるのはたった7%】

日本のプラスチックリサイクル率は24.8%(2013年)です。

80%以上をリサイクルしているとの主張もありますが、それはプラスチックを燃焼してエネルギーを利用する「熱回収」をリサイクルとしてカウントしているものになります。しかし、熱回収は「リ”サイクル”=循環」しておらず、世界でもリサイクルとしてカウントしないのが主流であることから、疑問が残ります。これについてはさらに多くの議論はあるのですが、専門的な話になるのでこのブログでは結論を出さずに、海外の主流に合わせた「リサイクルではない」と仮決定します。でも燃やさずに破棄するよりはまだいいですね。

さらに、リサイクルにカウントされているおよそ25%のうち18%は中国を中心とした諸外国に「資源ごみ」として輸出しているので、実際に国内でリサイクルできる能力はたった7%のみに限られます。その輸出先の中国も、資源ごみの輸入規制に踏み切っており、ゴミの行き場が無くなってしまう可能性があります。

日本のリサイクル率を上げるのに個人ができる最も簡単な手段は「ごみを減らすこと」でしょう。プラボトルを買わない、マイバッグを使う...どちらも簡単です。

事業者側も、トレンドになっているサステナブル問題の解決に向けたプロダクトを出すことで、サステナブルや環境問題に関心がある層にアピールできます。ここから、実際に成功したデザイン事例を紹介します。

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サステナビリティをプロダクトデザインの価値に落とし込む方法

サステナビリティをプロダクトデザインの価値に落とし込むことに成功した国内の事例を2つ紹介します。テーマはプラスチックごみの中でも多くを占める、使い捨てプラスチック容器のひとつ「ペットボトル」です。

コカ・コーラ - いろはす【『環境にやさしい』をブランドにしちゃった事例】

maglog的最強の事例がミネラルウォーターの「いろはす」です。2009年発売。

このCMを覚えていますか?(結構前のCMなので10代の人はわからない人も多いかも)

CMの内容も単純明快で分かりやすく、ボトルをしぼる体験には好奇心がくすぐられます。実際に使われている水の産地が6箇所あることからも、水へのこだわりを購買理由にしづらいことも伺えます。ミネラルウォーターといえば、様々な産地の水のおいしさや成分を売りにしていたものですが、この製品は「ボトルが軽量であること」をブランドにしてしまったんですね。

500mlボトルの重量は2009年発売当初で12g。2010年にはメーカー別ウォーターカテゴリーシェアNo.1に上り詰めました(リンク先:コカ・コーラ社)。さらに最近はプラスチック素材を完全にリサイクルされたものにするとのことで、環境に優しい感に拍車をかけます。

ちなみに現在の500ml最軽量ボトルはサントリーの南アルプスの天然水です。11.3g。もはや意地。(もしもっと軽いものがあったらTwitter等で教えて下さい!)

現在は以下のようなラベルレス商品も出しています。ラベルレス商品は最近増えてきましたが、まだ体験していないなら試してみるのもアリです。ラベルレスボトルのほうがめっちゃかっこよくないですか?

え?マイボトルを持ったほうがゴミが出ない?それでは次の事例です。

無印良品 - 自分で詰める水【飲み物を持ち運ぶことに対する少し新しい考え方】

2020年に無印良品が発売したのが「自分で詰める水のボトル」です。

厚手で空っぽのプラボトルを190円で販売して、自分で水を入れて繰り返し使ってね・・・という考え方。

これを見ると「普通のマイボトルでいいのでは?」と思う人が多いと思います。ただ、「コンビニで買う水」と「水筒に入れる水」って水に対する感覚が結構違いますよね。「コンビニで買う水を水筒に置き換えましょう」と言われて『普通の水筒』と『無印良品のボトル』の2つを提示されたら、よりペットボトルに近い姿の上に、置き換えた姿としてのプロモーションもしている無印良品のボトルの方が「置き換えた感」をイメージしやすいのではないかと考えています。シズル感です。

もちろんこれだけではありません。スマートフォン向けアプリ「水 - MUJI Life」をリリースし、ボトルの利用いにる環境貢献を可視化したり、水を補充できる場所を地図で一覧表示できるようにしました。

無印良品ではマイボトルに無料で水を詰められる給水器を設置して、利便性の向上も図られています。

僕も買って試してみたのですが、街中でも補充はちょっと面倒かな、という感覚。水筒ほど重厚ではなく使い捨てペットボトルよりは重厚という質感は、「使い捨てのようにで雑に扱えるけど繰り返し使える感覚」で、ストレスは少ないです。詳しくは改めてレビューします。

似たようなペットボトル製のマイボトルは多く発売されていますが、それらと比較して形のスタイリッシュさはさすが無印といった感じ。

サステナブルを掲げて日本でやれることはかなり多そう。

まとめです。サステナブルは持続可能な社会を目指すことに対して使われる言葉で、その中身には多くの環境問題や社会問題があります。現在の流行はプラスチックごみで、国内外の個人、事業者、政府が取り組みをしています。日本の状況は厳しいですが、裏を返せば入り込めるスキがたくさんあるという捉え方もできるでしょう。僕個人の考えとしては、まだサステナブルの考え方を日本に住むより多くの人に定着させる段階であるようにも感じますが(周りに「環境のためにこれをえらんでいるんだ」という話をまだあまり聞かない)、それはそれでやれることはありそうです。

サステナブルについてはこれからもどんどん状況が新しくなっていくトレンドだと思っているので、面白そうなことを勉強できたらこのブログでも共有する予定です。ぜひTwitter@magsbaseをフォローして更新をチェックしてみて下さい。

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まぐ

デザインや映像をを独学で勉強中の20代。新卒でそのままフリーランスに。自分一人でで何でも作れるようになりたいです。

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