Adobeのアフターエフェクト(AfterEffects)は映像制作において圧倒的な人気を誇るソフトウェア。どうにかして安く利用しようと探して調べるとたどり着くのが、買い切り版や代替ソフトの情報です。
最初に結論を言うと、2013年に買い切り版が廃止され、現在はサブスクリプション契約が必須となっています。その金額はなかなかの金額で、もっと安く使う方法は無いだろうかと思うところ。
この記事では、アフターエフェクトの買い切り版に代わる手段や安く使うための考え方について、特に映像初心者向けに共有します。
【筆者】まぐ:大企業の映像プロジェクトでメインエディターとモーショングラフィックを担当した経験あり。映像周りの仕事ではAfterEffectsとDavinciResolveをメインに利用しています。
アフターエフェクト(AfetrEffects)の買い切り版廃止の背景と影響
かつてアフターエフェクトは買い切り版が存在し、多くのユーザーが一度の購入で使い続けることができていました。しかし2013年、Adobeが「Creative Cloud」への完全移行を発表し、すべての製品がサブスクリプションモデルに切り替わりました。
これが趣味や短期プロジェクトでアフターエフェクトを使いたいユーザーにとっては大打撃。当時はだいぶ批判されていましたね。現在、アフターエフェクトを利用するためには月額数千円、年間契約ではさらに高額な費用が必要です。特にアマチュアクリエイターや初心者にとっては、このコストが大きなハードルとなっています。
AfterEffects現在の価格体型
現在、正規の手段でAfterEffectsを使うには「AfterEffects単体」か「Adobeソフト全部入りのコンプリートプラン」の2択を迫られます。
通常価格とセール価格
年間の通常価格 (税込) | セール開催時の 価格目安 | セール情報 | 販売ページ | |
---|---|---|---|---|
Adobe公式 AfterEffects 単体 年間契約(一括払い) | 【最安】 34,680 円/年 | 2~3万円 | 前回セール 2024年11月 | Adobe公式 AfterEffects |
Adobe公式 コンプリートプラン | 86,880 円/年 | 前回セール時 52,180円 | 前回セール 2024年11月 | Adobe公式サイト |
Amazon AfterEffects 単体 | 販売なし | - | - | - |
Amazon コンプリートプラン | 78,192円/年 | 前回セール時 52,180円 | 前回セール 2024年11月 | Amazonで探す |
セールの開催を狙うにしても、2023年以降は開催頻度がかなり減ったことでかなり待たされるようになっています。
静止画の編集だけしたい人向けには画像編集ソフトだけをセットにしためちゃめちゃ安価な「フォトプラン」が用意されているのに、映像制作者向けには安価なプランが用意されていないのも悲しいところ。
アフターエフェクト(AfetrEffects)の買い切り版はインストールできるのか
一番最後の買い切り版は2012年に発売されたAfterEffects CS6。一部では中古の買い切り版CS6が定価より高い値段で流通しています。
仮に買い切り版のAfterEffects CS6を今入手できたとして、インストールは可能なのでしょうか。
結論、ダウンロード版は不可、パッケージ版は可能です。(2024年時点)
パッケージ版はログイン自体ができない状態。また、パッケージ版は2023年1月にログインサポートを終了する予定だったものを延長している形なので、いつ終了になってもおかしくない状態です。具体的な期限は明示されていません。
また、正常に動作するOSも以下の通りかなり古いバージョンまでになってきています。
- Windows:Windows 8まで
- Mac:Mac OS X 10.10(Yosemite)まで(特に2019年のCatalinaからは起動不可能)
正直、今から買い切り版を使うのは無謀な状態です。
アフターエフェクト(AfetrEffects)のサブスクに頼らないにはどうするべきか
「なんとかサブスクを回避してAfterEffectsを使いたい」「AfterEffectsの代わりになるものを使って安く済ませたい場合」、どんな手段があるのか。
僕自身も映像の勉強を始めた当初はもっと安く(できれば無料で)済ませる方法はないだろうかとかなり調べていました。なんならこの記事自体、当時の僕に向けたような感覚で書いています。
結論、サブスク版AfterEffectsの代わりを探す手段は、人によって異なってくるというのが僕の考えです。
具体的にはユーザーのスキルや目的に応じて検討することが重要です。僕の経験をベースにしながら以下に紹介します。
【ケース1】アフターエフェクト(AfetrEffects)や映像制作ソフトの経験者が選ぶ代替手段
まず、既にAfterEffectsのようなソフトの扱いに慣れている人で、やりたいことも決まっている場合。
この場合はどの表現がどういった機能で作られているのか理解しているので、やりたいことを無料ソフトや買い切りソフトで再現できないか調べることができます。
経験者の皆さんは正直このことを理解していらっしゃるでしょうし、この記事を読むまでもないのではないかと思います。むしろなんか偉そうにすいません、恐縮です。
具体的に必要な機能を満たす無料ソフトがあれば解決。できないなら諦めてアフターエフェクトに返ってくることになります。
こちらの記事で無料ソフトを触った所感をまとめています。
この記事はAfterEffects未経験者向けに作成したものですが、まだ無料ソフトや買い切りソフトについて調べる前の段階の方なら参考になるかもしれません。
代表的な無料ソフト・買い切りソフト
- AviUtl(Windowsのみ対応)
- 国産の無料ソフトで、軽量で簡単なモーショングラフィックや編集であれば十分こなせる
- 有志がプラグインも多数作っている
- UIはあまり洗練されていない
- DaVinci Resolve 無料版/有料版
- 説明不要の有名ソフト
- 無料版でも簡単なVFXなら対応可能
- AfterEffects的な表現も扱えるが、日本語チュートリアルはかなり乏しい
WindowsユーザーならAviUtlはかなり強力。シンプルなモーショングラフィックの積み重ねならかなり戦えます。手の込んだエフェクトやパーティクル、VFXを組み込むとなると一気に難易度が上がります。
【ケース2】アフターエフェクト(AfetrEffects)未経験〜初心者に適したアプローチ
次はアフターエフェクトやそれに類似した映像制作の初心者の場合。この場合は、本末転倒ですがお金を払ってでもアフターエフェクトのサブスク契約が現実的な選択肢となる場合もあります。
理由はAfetrEffectsのチュートリアルがネット上に大量に転がっている分、効率的に学習を進められるから。以下に詳しく解説します。
初心者は自分のやりたい表現を再現できる無料ソフトを選ぶ知識がない
未経験者、初心者は「どの機能を使えば自分のやりたい表現を実現できるのか」を理解するのが難しいですが、アフターエフェクトなら自分のやりたいことをネット上で検索すれば、だいたい解決につながる情報に引っかかります。
ただし、調べてすぐに解決できるのは、数ある映像制作ソフトのなかでもユーザー数が圧倒的に多いアフターエフェクトだけの利点です。
例えば...
「AfterEffects チュートリアル」で検索すると10.8万件もヒットする一方、
「Davinci Resolve チュートリアル」で検索すると2.8万件しかヒットしません。
ちなみにDavinci ResolveはAdobe以外の映像制作ソフトとしてトップクラスに有名なソフトです。それでも約4倍の差。
もちろんこのヒット数がそのまま全てチュートリアルだとは言いませんが、ネット上に転がっている情報量に大きな差があることは分かります。
少し金を払ってでもアフターエフェクトから始めたほうが得
実際に僕が映像を始めた時、最初に以下の順番で映像制作ソフトを触り始めました。
- MacにWindowsの仮想環境を作ってインストールした無料のAviUtl
- 無料版Davinci Resolve
- 無料を諦めて課金したAfterEffect
最初に試したAviUtlは動作が不安定だったので早いタイミングで別のソフトへ。次に使ったDavinci Resolveでは自分のやりたい表現について検索してもなかなかいい情報にヒットせず、何度も足踏みを繰り返していました。その後、無料を諦めてAfterEffectsを契約した途端、映像制作が一気に楽に。
その理由は有料ソフトの機能が多いからではなく、学習しやすいからだったわけです。
学習にかかる時間を考えると、初心者はお金を出してでもアフターエフェクトから始めたほうがやはり得です。
忘れがちだけど大切なこと。あなたの時間はタダじゃない!!
どうしてもお金を出したくない初心者は、無料体験で本家アフターエフェクトと無料ソフトを比べてみるといい
時間的に遠回りしても良いのであれば、アフターエフェクトに似た機能を持ったソフトをまとめた記事「【2024】AfterEffectsを無料で使いたい。実際に使った上でオススメできる代替ソフト【無料】」を作成したので参考にしてみてください。全てのソフトを実際に使ったうえでまとめています。
また、AfetrEffectsには1週間の無料体験があります。
無料ソフトとAfetrEffectsの無料体験を各1週間ずつ使って、どちらのほうがラクに学習できるか、またその差はどれくらいあるかを実際に比べてみると良いでしょう。
無料体験は公式サイトのこのページから始められます。
その結果、自分のやりたい表現がそのソフトの機能とネット上の情報だけで十分に再現できるなら、その無料ソフト・買い切りソフトを使うと良いと思います。
無料版にはいくつか注意点あり
無料体験については無料期間の終了方法や登録方法に気をつけるべきことがあるので、これについて別記事で解説しています。「クレジットカードの登録は必須なのか」「有料会員に移行するタイミング」など重要なポイントがいくつかあるので、適宜ご活用ください。
AfterEffectsを含む本家コンプリートプランと講座のセットを68,800円で買える
「もう少し安いなら有料でもAdobeコンプリートプラン検討できる」というのであれば、このような買い方もあります。
- アドバンスクール Adobe基礎講座
- 年額68,800円
- 1年間のAdobeコンプリートプラン(商用利用可能)
- 自由に受講できる映像講座(利用は任意)
簡単に説明すると、68,800円で購入できるAdobe公認の通信講座「Adobe基礎コース」に申し込むと、講座と一緒にAdobeコンプリートプランが付属します。
Adobe公式サイトで申し込むよりは少し手間になるのはデメリットですが、「何度も繰り返し購入可能」「Adobe公認」「商用利用もOK」と問題なく使えるものなので検討する価値は十分あります。
以下記事で詳しく解説しています
買い切り版アフターエフェクト(AfetrEffects)の代替を考える:まとめ
アフターエフェクトを使わない映像制作には、経験や目標に応じた柔軟なアプローチが求められます。
経験者は今までの経験をもとに移行先を調べると良いですが、初心者はアフターエフェクトから始めたほうが得する、というのが僕の経験に基づいた提案でした。
この記事が映像制作ソフト選びに悩む皆さんの参考になると幸いです。