Amazonプライムデーで見つけてしまったLGの格安4Kモニター、『27UL500-W』。
価格はおよそ3~4万円ほどと、名の通ったメーカーが販売する4Kモニターの中では極端に安すぎる価格帯だったのでつい買ってしまいました。
しばらく使った感想としては、この価格帯を考慮すれば大満足。「高コスパ」という言葉がよく似合います。ただし、4Kモニターを欲しい全員に勧められるかと言われたら、違うというのが本音。
モニターの用途は映画鑑賞?ゲーム?映像制作?それともプログラミング?ハッキリとした弱点も感じており、用途によって良い悪いが分かれるだろうというのが僕の感想です。
ということで、LG『27UL500-W』を買って感じたメリット・デメリットとともにレビューします。
↓こんな人の悩みが解決します
- 格安4Kモニターを探している人
- 格安4Kモニターをを買うべきか悩んでいる人
- LG『27UL500-W』を買おうか検討している人
- LG『27UL500-W』のデメリットを知りたい人
まぐです。デザインや映像を扱う東京在住のフリーランス。デザインの独学や仕事道具、フリーランスの生活術・節約術を発信しています。
LG『27UL500-W』の基本
最初にスペック情報だけ載せておきます。必要な部分はこの後解説するので、読み飛ばしても大丈夫です。
- 画面サイズ:27インチ
- 画面解像度:4K
- 駆動方式:IPS
- 応答速度:5ms
- 付属スタンドの角度:-5~15°
- HDMIケーブル×1、DisplayPortケーブル×1、保証書(3年保証)
- モニターアームのマウント:可能(VESA)
- sRGBカバー:98%
- HDR10対応
- HDCP対応
- スピーカー内蔵なし(ヘッドフォンジャックあり)
- RADEON FreeSync™対応
主な重要項目は以上の通り。
ひとつ事前に知っておくべきなのはスピーカーが内蔵されていないこと。ヘッドフォンジャックに自前のヘッドホンやスピーカーを接続する必要があります。僕の場合はPCからオーディオインターフェースに繋いでいるので特に問題なし。
27インチの4Kモニターで3万円台というのはかなり安い部類です。
LG『27UL500-W』の画面の品質
4K解像度の描画は有無を言わさぬ精細さ
言うまでもないですが、4Kモニターの解像度はもちろんこの製品で享受することができます。
テキストは綺麗だし、4Kの映像もドットバイドットできれいに映し出されます。自分の場合はドット抜けもありません。まずはこの点が一番大きな価値であることを理解した上で購入検討を進めたいところ。
IPSを採用。ただし最近はIPSが主流なのでアドバンテージにはならない。
液晶パネルにはTNやIPSなど、数種類の駆動方式があります。
液晶パネルの主な駆動形式は以下の通り。
- IPS ←今回のモニターはこれ
- TN
- VA
- 有機EL
それぞれの方式に強みがあるのですが、このモニターが採用しているIPS方式の強みは「広い視野角」と「きれいな発色」です。
逆にIPSの弱みは「応答速度」と「高い価格」。映像コンテンツを楽しむのに向いていて、応答速度が重要な対戦ゲームが苦手。ちなみに応答速度が速いのはTN液晶です。
【IPS液晶のメリット】
・視野角が広いので真正面からでなくても楽しめる
・TNやVAより発色が綺麗
【IPS液晶のデメリット】
・応答速度が遅いので、対戦ゲームで不利(日常使いでは問題ない)
・TNやVAより価格が高い傾向がある(最近はそうでもない)
モニターを紹介するブログ記事やYoutubeレビューにはよく「主流のTSではなく、この製品は高価なIPSを採用している価値がある。」という人がいますが、現在の実情は違っていると考えいています。理由は以下の2つ。
- 最近ではIPSが主流になりつつつあることで特別な上等品と言えなくなった
- そもそも用途によって活かせるモニターの強みが変わる
あくまで自分の用途と合っているのか選ぶための基準と考えるべきですね。
- LG『27UL500-W』の駆動方式はIPSだから...
- キレイな映像を楽しむのに向いている
- 応答速度が早く、対戦ゲームで戦うガチゲーマーには向いていない
RGBsカバー率が98%で、色の再現には限界がある
27UL500-W の色域は微妙。
RGBsカバー率は98%です。
RGBsとは「色域」の指標で、噛み砕いて言えば「モニターがどれだけ広い範囲の色を表示できるか」を示します。
この98%という数字は普段使いでは問題ない数値です。ここで言う「普段使い」とはテキストを読んだり、ブログを書いたり、動画を見るような用途ですね。
一方で映像制作やグラフィック製作など、クリエイティブワークをする人がこのモニターだけで作業するには限界があるというのが正直なところです。僕が実際にIllustratorやPhotoshopを使っていても、発色の不安定さは体感できるレベルで感じられます。
僕の場合はMacbookProに接続して利用しているので、色の確認をMacBookのモニターに任せることで解決していますが、手間は増えてしまっています。
HDR10対応で映画がきれいに見れる
このモニターは「HDR10」対応で映像が美しく映ると謳っていますが、そもそもこのHDR10は何でしょう。
ハイダイナミックレンジの略で、早い話「表現できる明暗差の幅が広い」ことをいいます。
HDRに対応している一部の映画やシネマライクなゲームなどで享受できる機能です。
このモニターを買って早速AmazonPrimeの無料特典になっていた映画『インターステラー』を見たのですが、HDRであるのと無いのとでははっきりと差を感じます。HDR10モードでは明るい部分をより明るく表現するため、モニターの明るさが明るい状態で固定されることになるのでちょっと眩しいですが。
インターステラー(字幕版) - Amazon prime video
余談ですがインターステラーめっちゃ面白かったのでぜひ見てみてください。AmazonPrimeで無料です。(記事執筆時点)
ゲーム向けモードが搭載されているが、ガチの対戦ゲーム目的で買うようなモニターではない
27UL500-Wにはゲーム向けの機能が3つ搭載されています。
- ブラックスタビライザー
- DASモード(ゲーム向け低遅延モード)
- RADEON FreeSync™対応
そのうちRADEON FreeSync™はRADEON製GPUを利用する必要があるので、僕は使っていません。
ブラックスタビライザーモードは暗いところの視認性が上がるという機能なのですが、実際は暗い場所の輝度を上げるためにコントラストを下げているだけで、いわば逆HDRみたいなことになってしまっています。それであれば、そもそもゲーム内の明るさ・コントラスト設定で変えればいい話なのでこのモードに価値はないと感じました。もしも、高いコントラストを維持しながら暗い場所の視認性を上げられるようになれば発明ですね。理屈としては難しそうですが。
DASモードは映像の遅延を減らすモードです。これは使ってみたのですが残念ながら体感差は感じられない程度でした。対戦ゲームを遊ぶには苦しいデメリットが増えてきましたね。
LG『27UL500-W』の利便性
画面の品質の次は、機能面です。27UL500-Wの操作感や付属品を掘り下げます。
付属のスタンドは最低限の機能。でもモニターアームに対応
モニターに付属するスタンドは高さ調整はできないものの、角度を-5~15度の間で調整できます。
他の製品には高さ調節や回転ができるものも少なくない中、コレは必要最低限と言った感じ。
VESAマウントを利用できるので、モニターアームを別に買って取り付けることはできます。不便な付属スダンドを使わないための逃げ道としては十分でしょう。
保存できるマニュアル設定は1種類のみ
一般的なモニターと同様、明るさやコントラストなどを調整できる機能がもちろんついているのですが、一度の保存できるオリジナルのプリセットは1種類のみです。
最初から用意されたプリセットは複数用意されているのですが、一度設定したものを自分用にアレンジして使用後、別のプリセットに変えた後にもう一度アレンジしたプリセットに戻ってくると、アレンジした設定内容は消えます。
チャンネル(HDMI1/HDMI1/DisplayPort)ごとに設定を保存されるモニターもありますが、このモニターにはそういった機能もありません。
「昼用」「クリエイティブ作業用」「ゲーム用」などとモニターの設定を複数に切り替えて使いたい人にとっては不便になるでしょう。
HDMIとDisplayPortに対応。ケーブル付属。
入力はHDMIポートが2つとDisplayPort1つです。ケーブル類はHDMI、DisplayPort各1本ずつ付属しているので地味に便利。
4K60fps二対応するHDMIケーブルを自分で買うには、最も多く流通している「ハイスピードHDMI」より上の「プレミアムハイスピードHDMI」という規格が必要。これに対応するケーブルはちょっと高価です。ケーブルの規格を気にしなくて良くなったのは助かりました。
LG『27UL500-W』を買うべき人と、そうでない人
ここまでで、LG『27UL500-W』のメリットとデメリットがある程度洗い出せたと思います。
- LG『27UL500-W』のメリット
- 3-4万円程度で買える超低価格
- 確実に享受できる4K解像度
- HDR10対応で明暗の表現が美しい
- (HDMI/DisplayPortケーブルは両方付属)
- LG『27UL500-W』のデメリット
- sRGBカバー率98%で、表現できる色の範囲が狭い
- 応答速度が遅く、ガチ対戦ゲーマーには向かない(ほとんどの人には影響なし)
- 自分で画面をマニュアル設定しても、保存できるのは1つだけ
これらを元に、27UL500-Wを買うべき人、避けるべき人を分けると次のような感じ。
LG『27UL500-W』を買うべき人
1. とにかく安く、でも信頼できる4Kモニターを体感したい人
無名な中華ブランドの4Kモニターならもっと安いものもありますが、この製品は実際に使っていてある程度の安定性が感じられるとともに、LG製という安心感もあります。
できるだけ安く4Kモニターがほしい、でも「安かろう悪かろう」にはなりたくない人にとっていい選択肢になるはずです。
2.4Kで映像コンテンツを楽しみたい人
ごまかし利かない4K解像度とHDR10への対応は映像を楽しみたい人にとって大きな利点です。
sRGB(色の再現)や応答速度などといったモニターのデメリットは、映像コンテンツを作る側ではなく楽しむ側である方のほとんどには気にならないでしょう。
3.クリエイティブ用途で資料用のサブモニターを購入したい人
sRGB比が低いのでこのモニターで色を見るには向いていないのでこのモニターだけで製作作業をするには限界があります。
でも、色を見られるモニターは別にあって、追加でSlackや資料を開いたウェブページなどを置くための作業領域が欲しいんだ!という場合には一考の余地あり。
ちなみに僕はこのタイプですが、満足できています。
もしもっと多くの値段を出せるのであれば、4Kと高い色域カバー率を両立したモニターをBenQが出しているのでそちらのほうが良いかもしれません。僕も予算さえあればこちらを選んでいます。
LG『27UL500-W』を買うべきでない人
1.対戦ゲームで勝つためにモニターを買いたい人
本気で勝つためのモニターが欲しいならそもそも4KではなくFHDのゲーミングモニターにしておくのが無難です。今は144Hzの低遅延モニターが3万円以下で買える時代です。素直に凄い。
2.クリエイティブ用途のメインモニターを買いたい人
低いsRGB比では色を見ることができないので、このモニターだけで製作作業をするには向いていません。FHDモニターであれば近い価格帯に広い色域のものもあります。
4Kモニター十分使える性能でここまで安い製品は稀。用途に合わせて有効に活用しよう。
僕が実際にLG『27UL500-W』を使って感じたことをベースに、メリットとデメリットを洗い出してみました。思ったよりデメリットとして考えられることは多かったのですが、安価な価格から考えると十分に高いコスパで、僕自身満足な買い物ができたと思っています。
Amazonの商品名に「ゲーミング」というワードが入っていますが、楽しむためのゲームならまだしも勝つためのゲーム向けではないことには注意が必要ですね。
このレビューがモニター検討の参考になれば幸いです。