片手で操作しやすい小型スマホ原理主義だった僕が、iPhone 12 mini → iPhone 16 に鞍替えしました。
結論から言うと “片手操作はやっぱり辛いし慣れない”。
この記事では、乗り換えの動機から乗り換えのメリット・デメリットを実体験を元に共有します。
はじめに:小型スマホに感じた限界と乗り換え

僕は長らく小型のiPhoneを愛用してきました。
具体的には、iPhone 4→iPhone 7→iPhone 12 mini という遍歴です。
(iPhone 7はちょっとデカかかったので慣れるまで時間がかかった)
吊り革を握ったままでも空いた片手で画面隅まで指が届く幅、135 gの軽さ、そしてポケットにスッと収まる気楽さはとても便利。大きなiPhoneを使っている人を見てはどんだけ手がでかいんだろうと思っていました。
ところが2025年に入る頃、2つの不満が日に日に大きくなります。
- 昼過ぎには20%を切るバッテリー
- 夜景動画がザラザラで使い物にならないカメラ
小型ゆえにバッテリーの大きさには物理的な制約があるので、バッテリー持ちにはどうしても限界があります。
さらには最近になって暗い環境で撮影する機会が増えたのですが、時と場合によっては大きな一眼カメラを構えるとマナー的によろしくない場面もあります。そんなときに活躍するのがiPhoneの内蔵カメラです。しかし、iPhone 12 miniは暗い場所での撮影が苦手で、以下画像のようにざらついてしまいます。そこで選択肢に上がったのがカメラ性能の上がったiPhone15と16でした。


その中でもApple Intelligence使えるのは16だけというわけで、生成AI がないと生きていけない体になってしまったChatGPT奴隷の僕は財布を殴ってiPhone16を召喚しました。

その後2か月間もフル活用した結果を、良い面・悪い面の両方から本音で共有します。
iPhone 12 mini→16で変わった大きな違い(15 / 16 Pro / 16eもまとめてスペック比較)

12 mini | 15(無印) | 16(無印) | 16 Pro | 16e | |
画面サイズ | 5.4″ | 6.1″ | 6.1″ | 6.1″ | 6.1″ |
リフレッシュレート | 60 Hz | 60 Hz | 60 Hz | 120 Hz | 60 Hz |
本体幅 | 64.2 mm | 71.6 mm | 71.6 mm | 71.6 mm | 71.6 mm |
重量 | 135 g | 171 g | 173 g | 186 g | 170 g |
バッテリー | 2,227 mAh | 3,349 mAh | 3,561 mAh | 3,650 mAh | 3,350 mAh |
メインカメラの センサーサイズ | 1/2.55″ | 1/1.56″ | 1/1.56″ | 1/1.56″ | 1/2.55″ |
接続端子 | Lightning | USB‑C(2.0) | USB‑C(2.0) | USB‑C(3.0) | USB‑C(2.0) |
Magsafe対応 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
内部スペックの大きな違いはカメラとチップですね。
チップは A14 → A18 になりましたが、普段使いでははっきり体感できる差はありません。
一方、iPhone 16 からはApple Intelligenceに対応しました。ここについてはカメラの話と合わせてあとで取り上げます。
画面サイズは 5.4 inch → 6.1 inch に大型化

見た目として一番目立つのは画面でしょう。大型化によって画面のサイズが5.4インチから6.1インチに大型化しました。
横幅は 64.2 mm → 71.6 mm に広くなった

本体の幅は 64.2 mm → 71.6 mmに、約7mmも広がりました。
7mmという数字だけ見ると許容範囲かどうかわからない微妙な数字。ところが実際に握ると、通知センターを下ろすたびに手首をひねる必要があり、片手フル操作は事実上不可能。画面上部をタップするたびにギャップを痛感するでしょう。
ダイナミックアイランド搭載

12 miniではM字の切り欠きだった部分はダイナミックアイランドに進化。(退化?)
これは普通に無いほうが嬉しいです。
iPhone16に変えて良かったこと
ここ からは2ヶ月使って分かった良かった点、悪かった点を語ります。
良かったこと1. バッテリーの持ちが良くなった
まず良かったこと1つ目はバッテリーの持ち。
12 miniを使っていた時は半日で真っ赤になって倒れかけていたのに、16に替えてからは 1 日外に出ても 30 %以上残っているのが当たり前になりました。
しかしそれもそのはず。iPhoneの性能向上云々以前に単純に本体サイズがでかくなったんだからバッテリー容量もデカくなって当然です。

バッテリー容量は公表されていませんが、一説によると...
- 12 mini:約 2,227 mAh
- 16:約 3,561 mAh
とのこと。約1.5倍です。おかげで持ち歩いていたモバイルバッテリーが不要になり、半日程度の外出は手ぶらで行ける機会が増えました。バッグを置いて行動できるだけでも価値を感じています。

良かったこと2. カメラの暗所性能が良くなった
2 つ目はカメラ性能。目論見通り、16の暗所性能は大きく進化していました。
暗所の動画撮影では、ノイズが大幅に減っているのが以下画像の通り一目瞭然です。さらに手ぶれ補正も強力になっており、動画用途で使いたい人には心強いはず。

暗い場所でキレイに撮れるかは「センサーの大きさ」と「F値」が主な鍵なのですが、F 値はiPhone 12miniと16で同じ。今回はセンサーサイズの差が効いています。(正確にはソフトや処理性能にも差はあるのだとは思いますが見えない部分なので割愛)

12 miniから16でセンサーが6割以上大型化。実は15の時点で大きくなっているので、15でも暗所はかなり強いはずです。手ブレ補正も強化され、動画派には嬉しい進化です。

細かいプロ向け機能(ProRes など)について今回はスルー。このレベルの機能が必要なとき、僕の場合は一眼を使います。
良かったこと3. カメラコントロールボタン

本体右側面にカメラコントロールボタン が追加されました。ネット上では使いづらいとかで賛否両論ありますね。

ここを押して写真を取ったりスライドでズームしたりできるのですが、正直この辺の機能はそこまで使いこなせていないのが現状です。
では何が良かったのかというと、どの画面からでもここをワンクリックするだけでカメラを起動できること。
iPhone12でもある程度カメラにアクセスしやすいようにはなっていたのですが、いつどんなときでもこの物理ボタンを押すだけで必ずカメラが起動するというのは特別使いやすく、このおかげでちょっとした時でもカメラを起動して記録に残そうという気にしてくれます。
2‑3 USB‑C 統一でケーブル本数を半減

ついにUSB-C端子に対応。悪魔のLightningケーブルから解放されました。
iPhoneのためだけにLightningケーブルが1本増える――そんな小さなストレスがついに無くなりました。
Mac・iPad・ワイヤレスイヤホンなどをすべてをType‑Cの1本で回せるのはとても快適です。

ただし転送速度は USB2.0 相当なので、大量のRAW動画を扱う場合は AirDrop か 16 Pro が必要です。このUSB-C端子はあくまで充電用のもので、撮影した動画データの読み書きをすることはおそらく想定されていないのでしょう。
ただし転送速度はUSB2.0相当で、動画をゴリゴリ転送したい人には物足りないでしょう。
高速転送が欲しいなら16 Pro一択ですが、何十GBも撮影するような一部ほとんどにAirDropが快適な人なら無印でも不便は感じません。

これがもしiPhone16のProだったら無印16の20倍以上になる10Gbpsで転送できます。iPhoneで バリバリ動画を撮りまくってPCで編集したい人にとってはこの点が無印 16の明確なデメリットになります。でもこの高速転送が必要な人は耐えるように動画を 撮りまくるごく一部のユーザーです。

Apple端末同士で簡単にファイル転送 ができるAirDrop機能というものが以前から搭載されているのですが、 ほとんどの人はこの機能で十分だったりも します。僕の場合はiPhoneで動画を撮影してもせいぜい数GB程度なので全てAirDropで済ませてしまっていますし、特に不便に感じることは無かったです。
良かったこと⑤:画面がでかいこと
大きい画面のいいところは1度に多くの情報を表示できるから効率的な情報収集ができるところです。
そこで、iPhone 12 miniから16に買い替えたことで情報量がめっちゃ増え、情報収集が効率的になるのでは?と期待したのですが、結論そんなことはありませんでした。

このようにSafariで同じ画面を並べて比べるとその差はわずか2行。情報収集の効率という点に有意差はないように見えますね。
しかしこれ以外の想定していなかったことに1つ良かったところがありました。それが撮影をする際のプレビュー画面です。

画面が大きくなったことで構図や輪郭のチェックがしやすくなり、撮影のテンポが上がりました。正直ここが1番大型化の恩恵を感じたポイントです。
3 「失ったもの」――それでも覚悟すべき3つの代償
以上が良かったところ。続いては良くなかったことをまとめます。
悪かったこと1. やっぱりでかい

もはや説明する必要もないかもしれませんが、大きくなったことによって片手操作は不可能なものになりました。通知センターなどの隅っこには指が届かず、結局は両手操作になります。

昔iPhone 4から7に買い換えた時は慣れで大きさに対処することができたので、今回も使っていたら慣れるんじゃないかなと期待していたのですが、残念ながらそうはいきませんでした。


さらに、ウィメンズのジーンズのポケットに入れるとかなり窮屈。12 miniではギリギリ許容範囲でも、16では椅子に座るたびに僕のSiriが悲鳴を上げます。コンパクトを捨てた代償は小さくはありません。
悪かったこと②:Apple Intelligenceがポンコツ
楽しみにしていたApple謹製のAI機能「Apple Intelligence」ですが、現時点ではまだ修行中です。

例えば「YouTubeで再生を伸ばす方法を教えて」と聞くと

そのままGoogle検索をかけたものを投げてきます。ChatGPTのように文章で回答してくれるわけではありません。

更に踏み込んで、「自分のYouTubeチャンネルで扱うおすすめのテーマを教えて」と質問してみると...

「ChatGPTを使用しますか?」とChatGPTに丸投げ。すこし複雑な質問をするとすぐにこの回答が返ってくるようになっており、もはやChatGPTへの橋渡しアプリです。
ChatGPTと連携できること自体はいいのですが、せめてチャットGPTっていうところのo4-miniぐらいの処理は自社で間に合わせるぐらいにしてから出して欲しいなとは思ってしまいました。
どの画面からでもタップで AI を呼び出せる“ロマン”はあるので、アップデートに期待です。

また、iPhone16で追加されたカメラコントロールボタンを長押しするとVisual Intelligenceという機能を呼び出せます。
文章の要約

撮影したものを検索

これはカメラに写ったテキストを要約したり、コピーしたり、物を検索できる機能で精度ももまあまあ悪くありません。やっていることは正直Googleレンズに近いのでそこまでの真新しさはないですね。
Visual Intelligenceの活躍の機会ってあんまり思い浮かばないんですよね。英語の通じない国で旅行する時に看板を読ませるとかでしょうか。
悪かったこと③:アクションボタンの残念仕様

iPhone16では「サイレントモード」のオンオフを切り替えるスイッチのあった場所が「アクションボタン」と呼ばれるボタンに置き変わりました。


これによって「サイレントモード」のオンオフ以外にも「集中モード」とか「ボイスメモ」の起動など多数の機能から好きなものを割り当てられるようになったわけです。しかし、元々あったサイレントモードがなくなってしまうと不便なので結局ここに割り当てるのはサイレントモードのまま。
これでは12mini時代と何も変化がありません。せめて長押しでサイレントモード、単押しでChatGPT起動みたいに複数のアクションををこの1つに割り当てられると嬉しかったです。
カメラが目的なのにiPhone 16 Proを選ばない理由
「カメラを目的(のひとつ)に買い替えたのになんでProモデルじゃないの?」というツッコミもあると思います。
その理由は2つあります。
1つ目はまず単純に高いから。MacBookAirとほぼ同じ値段っていうのはなかなかです。
それから2つ目は望遠をあまり使わないから。iPhone16には超広角と広角のカメラが搭載されているのですが、Proになるとここに望遠カメラが追加されて3つになります。

しかし実際に僕が望遠レンズを使いたいシーンは、大抵三脚を立てても許されるくらい開けた場所であることが 多いんですよね。「ここでは雰囲気やマナー的に一眼が出しにくいからここではiPhoneを使おうかな」という場面では望遠を使おうという機会があまりありません。
この2点が理由で、無印16で十分と判断しました。
自分の場合はiPhone 16に買い替えて正解だった
結論、バッテリーと暗所でのカメラ性能の2つに価値を見い出せた僕にとってiPhone16への乗り換えは正解でした。
しかし片手操作にこだわりたいのであればそれなりに苦しい戦いを強いられることでしょう。
メリット
- 持ちの良いバッテリー
- 暗所でも使えるカメラ&強力手ブレ補正
- カメラコントロールボタンですぐにカメラ起動
- USB-C対応でLightningケーブル断捨離
- 大きな画面で撮影プレビューできる
良くなかったこと
- でかくて片手操作できない
- 小さいポケットには入りにくい
- Apple Intelligenceが使えない子
- アクションボタンが不便
miniに未練が残る瞬間は正直ありますが、サイズの犠牲を払ってでも得たバッテリーの余裕とカメラ性能には十分な価値があったと感じています。

またAI機能に夢を見ているなら今はまだ様子見のフェーズ。 AI目的で16を買うことはあまりおすすめできませんが、 将来のアップデートを信じて16を買う なら止めはしません。でもそれなら17以降を待っても良いともいえます。
15 / 16 / 16e / 16 Pro――mini ユーザー向け “後悔しない選び方”

以上の経験を踏まえて、12 miniや13 miniといった小型iPhoneユーザーの買い替え先を検討します。
まず、片手操作を捨ててでも得たいものがあるかどうかが一番の大きなポイントになります。
逆に片手操作を死守したい人には残念ながらどうあがいても苦行です。
僕のようにバッテリーと暗所カメラ、この 2 点に価値を感じるならiPhone 15への乗り換えは正解。
AI機能が本領発揮するのはまだ先。将来のアップデートに賭けて16を買うのも良いですが、17を待つ手も考えたいところ。
15(無印):最安で暗所カメラとバッテリーを強化したい
iPhone 15 は 16 と同じ 1/1.56″ センサーを積みながら、値下げでお得感が際立ちます。AI機能は急がないという人には良い落としどころです。
16(無印):バッテリー・暗所・ポンコツAIの三拍子
僕が選んだモデル。片手操作を捨てる代わりに、持ちの良いバッテリーと夜景カメラ、ポンコツAIがついてきます。がんばれSiri。
16e:バッテリーが大きくなる以外に良いところが見当たらない悲しい子
16eのカメラはmini世代と同等ですが、価格が抑えめ。ついでにMagSafe非対応です。16eの唯一の強みはAI対応なのですが、肝心の性能がポンコツなので、バッテリーが強化されるくらいしかメリットがありません。
iPhone 12 mini, 13 miniの筐体の小ささを捨ててまでこれを選ぶ理由はあまりない気がします。
この記事ではゲームなどの高負荷利用は想定していないのでこの評価なのですが、ゲームが目的の人からすると最新チップが搭載されている点が強みになるのかも?
16 Pro:望遠と10 Gbps転送。仕事でカメラをバリバリ使う人に
5倍望遠とUSB3(10 Gbps)を備えた仕事用マシン。iPhoneをメインカメラにする動画クリエイターや取材現場の選択肢です。
ぜひ一度自分がiPhoneに求めることを棚卸し整理してみてください。この記事がiPhone買い替えの判断材料になれば幸いです。