- Photoshopの代わりになる無料ソフトを紹介・比較します。
- Photoshopの代わりとして最も優秀な無料ソフトを決めます。
PhotoshopはAdobe社が開発するラスター描画ソフト。デザインの場では必要不可欠なソフトであることは言わずもがなで、デザイナーでない一般の方の間でもかなりの知名度を誇ります。
そのネックは価格の高さ。Photoshopと写真現像に特化した「Lightroom」という姉妹ソフトのセットが最安なのですが、これでも年間一括払いで14,080円(月あたり約1,173円)します。(ちなみにPhotoshop単体だと月額2,480円でむしろ高価。あくまでセット価格が恒常的な値引きオファーの扱いになっているようです。)この出費、抑えられるものなら抑えたいところ。
Photoshopを契約するといくらかかる?
通常価格 (税込・年間) | セール時最頻値 (税込・年間) | 最新のセール | |
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Adobe公式 Photoshop 単体 | 34,680 円/年 | 2~2.5万円 | 11/29まで50%オフ →終了 |
Adobe公式 フォトプラン [Photoshopと Lightroom] | 14,080 円/年 | 原則セール対象外 | - |
Adobe公式 コンプリート | 86,880円/年 | 4~5万円 | 11/29まで50%オフ →終了 |
Amazon コンプリート | 約75,000円/年(参考) | 4~5万円 +ポイント還元 | 12月6日まで4.2万円 |
最新の価格情報は公式サイトのこのページから確認できます。
Photoshopの代わりになる無料ソフトはないだろうか?
ということで、Photoshopの代わりにタダで使えるソフトを調査&一通り実際にダウンロードして試してみました。
以前にIllustratorでも無料ソフトを探した事があったのですが、それと比べてPhotoshopには類似する無料ソフトの数がかなり多いです。そこでこの記事では知名度があるソフトと品質の高いソフトだけをピックアップして紹介します。
ちなみに、おすすめできるIllustratorの無料代替ソフトについては以下の記事にまとめてあるので是非参考にしてみてください。Illustaratorは代替えできるソフトの数もあまり多くなく、ハッキリとした結論が出ています。
Illustratorを無料で使いたい。オススメできる代替ソフト1選
数ある画像編集ソフトの中、この記事で取り扱うのは「GIMP、Photopea、FireAlpaca」以上3つ。有名なものと私が使いやすいと思ったものから選出しています。
- 記事の主な更新履歴
- 2021年:記事公開
- 2022年3月:情報のアップデート
- 2024年3月:情報のアップデート
調べて分かった無料ソフトの傾向&本家との違い
Photoshopの代替えになりそうな無料ソフトを取っ替え引っ替え弄る中で、全体を通して見られる傾向がありました。先にこれをまとめます。
本家Photoshopと代替ソフトの違いは大きく分けて良い点が1つ、悪い点が1つ。ほかには細かい違いがいくつかあります。先に良い点から始めます。
【朗報】無料ソフトでもPhotoshopと同じ加工処理をほとんど施すことができる
まず分かったのは、無料ソフトでもPhotoshopの主要な加工処理はだいたい再現できるということ。
Photoshopの基本は「選択ツールやパスを描いて範囲を選択」して、「選択した範囲に筆を入れたり効果をつけたりして表現」する流れでしょう。極端な話、コレさえできればPhotoshopの用途のうち大半がクリアできるはず。
実際のところ、Photoshopに似た無料ソフトは一通りこの動作ができるようになっています。
そりゃPhotoshopの代替なんだから当然だろ、と思われるかもしれません。しかし、以前にIllustratorの替わりになる無料ソフトを探した時にはソフトによってできないことが多かったので、今回試していて一番意外に感じました。
【悲報】効率的に作業するための機能に圧倒的な差
Photoshopと同じ加工処理ができるのであれば無料ソフトでいいじゃないか、という話になりますが、現実はそういきません。複数の無料ソフトを触った結果、共通して『Photoshopにあって、無料ソフトには備わっていないもの』がありました。
それは「作業を効率的に進められるツール」です。
分かりやすくするために2つ例を紹介します。
ツール① 人物を効率的に切り抜く
例えば、写真の人物を切り抜きたいとしましょう。
そのためには人物の輪郭を境界に人物と背景と分けてあげる必要がありますね。
理屈で言えば、マウスで人物の輪郭をなぞることで人物と背景を切り分けることができます。マウスで線を引いてなぞる機能を「パス」と呼んだりするのですが、この機能はPhotoshopにはもちろん、今回試した全ての無料ソフトにも備わっている機能です。(無料ソフトは動作が不安定だとかUIが理解しにくいという違いはあります。)
しかし、髪の毛の1本1本まで丁寧にマウスでなぞるってかなりの労力と時間が必要ですよね。
ここで手助けしてくれるのが、自動で選択範囲を補助してくれる機能。選択したい場所をマウスで選ぶと輪郭らしい場所を勝手にソフトが判定して、半自動で選択作業が終わります。「自動選択ツール」「被写体を選択」などソフトによって名前は異なるものの、Photoshopにはもちろん、いくつかの無料ソフトにも搭載されています。
無料ソフトとPhotoshopで差が出るのは、こういった「作業を効率的に進めるための機能」の差。
上に挙げた「自動選択ツール」一つをとってもPhotoshopの自動選択ツールは無料ソフトと比較して圧倒的な精度を誇りますし、Photoshopには「被写体を選択」というバケモノ機能もあります。
ただ「被写体を選択」をクリックするだけで・・・
ここまで正確に人物を切り抜いてくれます。(分かりやすいように背景と判定された部分を赤く塗っています)
髪の毛をアップするとこの通り。髪の毛の隙間までたったワンクリックで切り抜けます。これを手作業でやろうものならどれだけ大変な作業量になってしまうのか、容易に想像がつくでしょう。
しかし、無料ソフトだと、これを本当にマウスで手作業することになるわけです。圧倒的な差。
ツール② 調整レイヤー
さらに、Photoshopにあって多くの無料ソフトに無い機能のなかで、作業効率に圧倒的な差がつくものがもうひとつ見つかったので先に紹介します。
それは「調整レイヤー」という機能。
この機能はとても単純。指定したレイヤーや範囲のコントラストや彩度を調整したいときに使う機能です。
普通、画像の明るさを一度上げると、白くなって潰れた部分を後から戻すことはできません。(画像上サイド)それと比べて「調整レイヤー」を使って調整すれば、後から明るさの数値を調整し直すことができるというもの。(画像下サイド)
調整レイヤーのように、元画像のデータを残したまま何度も編集できるものを『可逆編集』と呼んだりします。この可逆編集かできるのとできないとの差では編集のしやすさの面でかなり大きく、できることなら対応したソフトを使いたいところ。
その他、「CMYK対応」「ネット上に転がる情報量の差」
印刷物を作るには「CMYK」と呼ばれる色情報を扱う形式が必要になるのですが、無料ソフトではこれに対応していない場合が多いです。逆に言えば、制作物をモニター上で扱うことを前提にしたソフトが多いともいえます。
また、無料ソフトはユーザー数が少ないため、なにかトラブルがあったときに検索しても欲しい情報が得られない場合もあります。ネット上に転がっている情報量はPhotoshopの方が圧倒的に多いです。
以下、無料ソフト全体を通して言えるPhotoshopとの違いのまとめ。
- 作業を効率化できるツールが少ない。特に「選択ツール」「調整レイヤー」関連。
- 印刷物を制作するために扱う必要のある形式に非対応のものが多い。
- ネット上に情報が少ないソフトが多い。
- (でも、最終的に完成させられる作品のレベルに大きな違いはない)
さて、ここから各ソフトの紹介に入るのですが、あくまで「Photoshopの代替」を選定していることを前提にしていることを念頭においてください。「ブラシで絵を書きたい」「人物を切り抜きたい」など、Photoshop全体ではなく、限定された用途だけのために使うソフトを探しているのであれば、この記事で結論つけているものより良い選択肢があるかもしれません。
先に結論を言っておくとPhotopeaをおすすめします。
異論は受け付けます!お気軽にTwitterへリプライしていただけたらと思います。
紹介に入る前に、Photoshop初心者の方へひとつだけ。初心者にはPhotoshopの代替になる無料ソフトより、お金を払ってでも本家Photoshopを使うことをオススメしたいです。理由は、Photoshopを使ったほうが将来的には安く済ませることができるから。詳しいことは以下の記事にまとめています。Illustrator初心者向けに書いた記事ですが、Photoshopにも全く同じことが言えるので、読み替えてみてください。
-
Illustratorを始めたいと考えている初心者が無料・格安の代替ソフトを使うべきでないシンプルな理由
続きを見る
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①最も有名で解説書もある「GIMP」
Photoshopの代替ソフトとして最も挙げられているのが「GIMP」。オープンソースらしく高機能、上級者ならスクリプトも扱えます。
上で紹介したとおり、理屈ではPhotoshopにような完成物を作り上げることはだいたいできるでしょう。「被写体選択」「調整レイヤー」に相当する機能はGIMPに存在せず、Photoshopと比較して作業効率の面で大きなハンディキャップを背負うことになります。それでも無料でここまでできるのはありがたいこと。
印刷物を扱いたい時に必須の色形式CMYKには非対応。GIMPで印刷物を作りたいなら工夫が必要です。
- Photoshopの代替ソフトとして最も有名でユーザー数が多い。
- 英語も含めれば、ネット上に多くの情報が転がっている。
- 作業を効率化するツールは揃っていない。
②安心感ある国産ソフト「FireAlpaca」
FireAlpacaは世にも珍しい完全国産ソフト。
FireAlpacaはPhotoshopの系列というより、正確にはクリップスタジオやSAIのような「ペイント系・お絵かき系」ソフト。画面を見るだけでも、ブラシやカラーピッカーの配置からその系譜を見て取れます。
ペイント系なのになぜここで紹介したのか。理由は以下の2つ。
①国産ソフトなので日本語での情報が(公式情報含めて)ネット上に多く転がっている。
②CMYKに対応している。
どちらも他の無料ソフトとしては貴重で有用な要素です。①有名なフォトショップであれば、わからないことがあれば検索してすぎに解決できるようなことでも、ユーザー数の少ない無料ソフトでは検索しても情報が出てこないことも多々あるのが実情。その点FireAlpacaなら情報量が多いので初心者でもつまずきにくいです。②無料ソフトの多くは印刷物に必須の形式「CMYK」に対応していないなか、FireAlpacaはCMYKに対応しています。ペイントソフトらしい利点。
じゃあFireAlpacaにはPhotoshopの「自動選択ツール」「被写体を選択」のような作業効率化ツールはあるのかあるのか、という話ですが...
なんかそれっぽいアイコンがある!
このアイコンの正式名称は自動選択ツールでした!FireAlpacaには自動選択ツールが搭載されています。
しかし自動選択ツールの能力は画像の通り低め。あまり期待はできません。それとも僕が下手くそなだけ・・・?
ちなみにPhotoshop向けファイル(.psd)には対応しています。レイヤー情報も引き継げる模様。
- 国産ソフトで、日本語のチュートリアル情報がネット上に多く転がっている。
- CMYKに対応。印刷物も扱える。
- 作業効率化ツールはあまり強力ではない。
- もしブラシを使ったペイント用途で扱いたいなら良い選択肢。
③パット見たUIが本家Photoshopそのもの「Photopea」
こちらは上で紹介したGIMPとFireAlpacaと比較して圧倒的に知名度に劣るソフトですが、結論を言うと僕が最もおすすめするソフトです。
2つと比較して特異なのが、Photopeaがブラウザ上で動作するソフトである点。
Photoshopに最も近い操作感をしており、元々Photoshopを使っている自分でもスムーズに使いはじめることができました。
作業の効率化について。「被写体を選択」はさすがにないものの、自動選択ツールはきちんと搭載されています。Photoshopと比較すると動作が重いのが難点。
そして、上で紹介した「調整レイヤー」は完全体として搭載されています。この機能については本家Photoshopに全く引けをとっていません。
UIのPhotoshop感がかなり強い。
ただし印刷物向けのCMYKにはさすがに非対応。
それからこの画像を見てなにか気づくことはないでしょうか。
画面右に広告が出てきます。無料で利用できるかわりに、広告が貼られて作業スペースが少し狭くなってしまうのがデメリット。
この広告、9ドル出せば30日間消すことができます。(ついでにundo数が30から60に増加)それでも無料ですべての機能を使えるのがPhotopeaの優しいポイント。機能面では圧倒的にハイクオリティなので広告に目をつぶってでも使う価値はあると思います。
- ブラウザで動作するソフト。
- UI・操作感が本家Photoshopにかなり近く、乗り換えしやすい。
- 機能性も高く、多くの無料ソフトにはない「自動選択ツール」「調整レイヤー」を搭載
- 無料で全機能を使えるが、お金を出すと広告を消せる。
【結論】無料のPhotoshop代替ソフトを探しているならPhotopeaをオススメします(次点でGIMP)
結論、おすすめするのはPhotopeaに落ち着きました。
確認したい大前提「"Photoshop"こそ最強で、お金さえ出せるのであればみんなPhotoshopを選ぶ」
以前Illustratorの代替ソフトを探した時も同じことを書いたのですが、前提として一つ確認させてください。
- お金のことを考えなくていいのであればみんなPhotoshopを選びますよね?
- 最終的には無料ソフトでは物足りなくなってPhotoshopを使うことになるかもしれません。
- 将来お金に困らなくなる時がきたらきっとPhotoshopに戻るでしょう。
結局何が言いたいのかというと、Photoshopとの互換性や類似性は高いに越したものはないということ。無料ソフトを使った後にPhotoshopを乗り換えようと思って実際に触ってみたら、今まで使っていた無料ソフトとは勝手が全く違くて萎えてしまった、なんて事態になる自信があります。僕なら絶対萎えます。せっかくソフトの使い方を覚えたのにまたイチからやり直すなんてことは絶対したくない。
これを踏まえて話を進めます。
使用感が最もPhotoshopに近い
Photopeaは使用感がPhotoshopに近いので、Photoshop経験者ならスムーズに使い始めることができます(自分談)。逆にPhotopeaから始めた人は、将来、簡単にPhotoshopに乗り換えられるでしょう。
機能も良いが問題点も
紹介したとおり、Photopeaは他の有名な無料ソフトと比較しても高機能で作業しやすい部類です。一方で問題なのが、マイナーさゆえに検索しても情報があまり出てこないこと。
Photoshopに近い操作性だから既にPhotoshopを使っていた経験者であれば検索する機会自体少ないかもしれませんが、初心者であればわからないことが合っても検索で解決できずに苦戦する可能性はあるでしょう。いっそのことPhotoshopを使っている前提で検索してみてもいいかもしれませんが、不便であるのは確か。ここを不安に感じるのであればGIMP、FireAlpacaが選択肢に入ります。個人的には先にPhotoshopを買って、使いこなせるようになるのが結局一番得だと思っているのですが、この記事の趣旨とは合わないので割愛。(理由はこちらの記事で解説)
- Photopeaがおすすめ。Photoshopに最も操作感が近く、機能の質も良い。
- マイナー故にネット上に情報は少ない。
ちなみに、本家Photoshopは1週間の無料体験が使えます。成果物の1つや2つを作りたいのであれば1週間でなんとかなるので、とりあえず試してもてもいいと思います。無料体験の始め方と注意点について以下の記事でまとめているので参考にどうぞ。
【選択肢】イラレを含む本家コンプリートプランと講座のセットを単純に68,800円で買う方法も
「もう少し安いなら有料でもAdobeソフトのサブスクを検討するが、今の値段では高すぎて手が出なかった」というのであれば、このような買い方もあります。
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Adobeコンプリートプラン1年分と講座のセットが68,800円で手に入る!お得なセットの買い方
続きを見る
簡単に説明すると、68,800円で購入できるAdobe公認の通信講座「Adobe基礎コース」に申し込むと、講座と一緒にAdobeコンプリートプランが付属します。
Adobe公式サイトで申し込むよりは少し手間になるのはデメリットですが、「何度も繰り返し購入可能」「Adobe公認」」「商用利用もOK」と普通に使えるものなで検討する価値は十分あります。
以上、Photoshopを無料ソフトで代替するならどのソフトが適切なのか、実際にダウンロード・利用しながらまとめて共有しました。あなたのソフト選びの参考になれば幸いです。