ドスパラのゲーミングPC「ガレリア(GALLERIA)」を購入してしばらく経ち、グラフィック性能に不足を感じるようになったら考えるのがグラボ(GPU)の交換です。
しかし、グラボなら何でも自由に買って使えるわけではありません。自分のガレリアに合ったグラボを選ばないと、正常に取り付けられなかったり、動作しないケースもありえます。
この記事では、筆者が実際にガレリアのグラボを交換した経験を元に、ガレリアで交換するグラボの選び方から取り付け方法までを丸ごと解説します。
パーツを交換するとガレリアの保証は受けられなくなります。もし問題が起きた場合、元々のパーツ構成に戻すことで対応してもらえる場合もあるので、交換後も保証期間終了までは保管しておくことをおすすめします。
グラフィックボードの交換は難易度こそ高くない部類の作業ですが、時に故障する危険もあります。必ず自己責任で作業してください。
当ブログではガレリアの各パーツを交換、アップグレードする方法を解説しています
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- ガレリアのHDD増設方法・選びかた【安く容量を増やす】
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ドスパラのゲーミングPC『ガレリア』でもグラボ交換でスペックアップを狙える
グラフィックボードは画像処理を担当するパーツ。グラフィックボードの性能はゲームの映像はもちろん、動画の書き出しやblenderなどといった3DCG制作ソフトのレンダリングの速度に大きく関わるので、以上のような用途でもっと快適にしたい場合にはもっと高性能グラボへの交換が選択肢に入ります。
ガレリアでは自作PCと同じようにグラボを交換することができます。また、グラボの交換はCPUやメモリのスペックアップと比較して難易度が低く、初心者でも手が出しやすいのも魅力的です。
ガレリアで交換するグラボの選びで確認すべき2つのこと
まずはグラボの選び方から解説します。
グラフィックボードなら何でも自由に買って交換できるわけではありません。グラボによっては自分のガレリアで接続できなかったり、うまく動作しなくなる場合があるので、良く調べてグラボ選びを進める必要があります。
ガレリアで交換するグラフィックボードを選ぶためには、次の2つのことを確認する必要があります。
- 交換するグラボがPCケースに入る大きさかを確かめる
- ブラケットに取り付けられるか
- 壁や他のパーツにぶつからないか
- 電源の交換を検討する
- 補助電源を使えるか
- 電源の容量は十分か
平たく言うと、電源を用意できてPCケースに入る大きさのグラボを買えば大丈夫です。
以上の2つについて順番に解説していきます。
1. グラボがPCケースに入る大きさかを確かめる
グラフィックボードは製品によって大きさが違うので、買い替えるグラボが自分のガレリアに入る大きさかを確認する必要があります。
グラボの大きさは製品によって千差万別です。例えばInno3Dが販売しているRTX 4070 Ti SUPER(TWIN X2 OC)の場合、その大きさは250x118x42 mm。これと比較して、玄人志向が販売しているGeForce RTX 4080 Super(GG-RTX4080SP-E16GB/OC/TP)は336 x 138 x 66 mmです。かなり大きいですね。
ガレリアの構成によってグラボが入る大きさは違うので、実際にメジャーで中身を測って確認しておくことをおすすめします。もしお目当てのグラボが収まらない場合、PCケースを変えるのも一つの手。ケース交換についてはこちらの記事で解説しています。
グラボがPCケースに入り切らなくて使えない問題は割と珍しくありません
2. 電源ユニットの交換を検討する
次に確認したいのは電源ユニットです。電源ユニットはガレリアの後ろ側、下の部分に入っているパーツです。
グラボを買い替える際に電源について確認したいのは2つ。「補助電源の有無」と「電源容量」です。
グラボに接続する補助電源の有無を確認する
一部エントリークラス以外のグラボでは、補助電源の接続が必要になります。補助電源は画像のようにグラボに刺さっています。
電源ユニットからはPCの様々なパーツに電源を供給するためのケーブルがニョキニョキと生えているわけですが、グラフィックボードに使うための補助電源はこのケーブルから供給することになります。
ここで確認したいのがこのケーブルの先っぽの部分です。ケーブルによって8つのピンが付いていたり、6つのピンが付いていたり、ものによっては6ピンと2ピンをくっつけて8ピンとして使えるようになっているものもあります。
グラフィックボードによって用意しなければならないな補助電源のピンの数は異なります。例えば、僕が交換前に使っていたZOTACのRTX3070では8ピンが2本必要でした。
グラフィックボードの製品ページには必要なピンの数が必ず記載されているので、交換するグラボが自分の電源ユニットから接続できるかどうかを必ず確認しておきましょう。
ちなみに、現在販売されているグラボのほとんどは補助電源が必要になっています。ちなみに補助電源が必要ないグラボは「RTX 3050」「GTX 1650」など性能の低い製品のうちの一部に限られます。
電源容量が十分かどうかを確認する
利用するグラボによって使う電力の量は大きく変わります。新型のグラボほど消費電力が少なくなる傾向がある一方、高性能なグラボほど消費電力も増える傾向にあり、製品によって千差万別です。ですので、グラボを取り替えた後に電気の供給量を十分確保できるかどうかを確認しておく必要があります。
この電気の供給量を決めるのが「電源ユニット」。製品によって「600W」「800W」などと供給できる電力が決まっています。
電源ユニットの買い替えが必要かどうかを検討するために、今使っている電源ユニットの供給電力量と、グラフィックボードを変えた後に必要な電力量の調べ方を次に紹介します。
今使っている「電源ユニット」のW数の調べ方
まずは今使っている電源ユニットの電力容量を調べます。
CPUの様にCPU-ZやWindowsの機能を使って電源ユニットを確認する事はできないので、アナログな手段で確認する必要があります。
- ガレリアの仕様書や注文履歴から確認する
- ガレリアのケースを開けて直接電源を見て確認する
グラボに必要な電源容量の調べ方
電源ユニットの買い替えが必要かどうかを確認するには、ドスパラが提供している電源容量計算機が便利で簡単です。これを使えばグラボの消費電力を調べなくても勝手に必要な電力量が出てきます。
今使っているパーツ構成と買い替えるグラボを入力するだけで、必要な電源ユニットの電源容量を提案してくれます。
構成を選ぶと「合計使用電力目安」とは別に、「おすすめ電力容量」が出てきます。これらの数字にを参考にして検討を進めていきます。
電源ユニットの容量は使用電力量の1.3~1.6倍が目安
電源ユニットは、想定される電力量よりも余裕を持って大きめの容量を持った電源ユニットを用意するのが一般的です。
ドスパラは使用電力量の2倍の容量を持った電源ユニットを推奨しているので、「おすすめ電力容量」には「合計使用電力目安」の2倍の数字が出ていると思います。
しかし、この2倍という数字はかなり余裕を持った数字で、実際には1.3から1.6倍程度でも問題なく運用できます。
電源容量計算機で表示された「おすすめ電力容量」ではなく、「合計使用電力目安」の1.5倍程度に合わせて電源ユニットを検討すれば十分です。
余裕を持って使える大容量電源ユニットは、静音効果が大きいというメリットはあります。
ガレリアの場合、電源ユニットの買い替えは不要な場合もある
ガレリアには、本来必要な電力容量より余裕のある電源ユニットを組み込まれていることが多いです。理由は上で紹介している通り、ガレリア(ドスパラ)が使用電力量の2倍の容量を持った電源ユニットを推奨するポジションを取っているからですね。
しかし、グラボをより高性能なものに交換するとしても、場合によっては電源ユニット交換しなくてもいいケースもあることを頭の片隅に入れておくことをおすすめします。
おすすめ電源ユニット
コスパの良い電源ユニットをいくつかピックアップします。
850W
850W以内なら玄人志向の電源ユニットが安く手に入ります。使っている人もかなり多く、信頼の置ける製品です。
1000W
ハイスペックなグラボを乗せたい場合や今後のさらなるアップグレードを見据えたい場合に選択にしなるのが1000W級の電源ユニットです。
NZXTの1000W電源ユニットは価格が安いだけでなく、奥行きが浅めで空間に余裕ができるので配線がしやすい点も利点です。
筆者が交換した電源ユニット(1000W)
筆者が購入したのはCORSAIR RM1000eです。使い始めて1年以上経ちますが、今でも問題なく使えています。
交換するのにおすすめのグラボ2種
2024年春時点でおすすめできるグラフィックボードを紹介します。基本的にコスパで選んでいます。
【旧世代ミドルクラスから交換】ハイスペックなグラボを狙うなら4070SとRX7700XTがコスパ良好。上限は4070 TiSUPERまでか
10万円前後の価格帯は、QHD以上の3Dゲームやクリエイティブ作業の中でも重い処理が必要な用途で検討されるグラフィックボードで、販売されているラインアップも豊富で一番迷いやすいところだと思います。
製品 | 価格帯 | おすすめ | RTX 3060と比べて | RTX 2060と比べて | |
---|---|---|---|---|---|
RTX 4080 | 約16.5万円〜 | 約2倍の性能 | 約2.5倍の性能 | Amazonで探す | |
RTX 4070 Ti SUPER | 約13.0万円〜 | コスパで選べる限界 | 約1.9倍の性能 | 約2.4倍の性能 | Amazonで探す |
RTX 4070 Ti | 約11.9万円〜 | 約1.8倍の性能 | 約2.3倍の性能 | Amazonで探す | |
RTX 4070 SUPER | 約9.8万円〜 | おすすめ | 約1.8倍の性能 | 約2.2倍の性能 | Amazonで探す |
RX 7800 XT | 約7.9万円〜 | 約1.4倍の性能 | 約1.7倍の性能 | Amazonで探す | |
RX 7700 XT | 約6.7万円〜 | おすすめ | 約1.2倍の性能 | 約1.5倍の性能 | Amazonで探す |
旧世代のミドルクラス「RTX2070」あたりを使っているユーザーならこの価格帯のグラボへの買い替えでも性能の向上を実感できるはずです。
上位モデルの中からコスパを優先して選ぶなら4070 SUPERがおすすめ。
また、グラボはハイスペックな製品になればなるほど、「スペック比お金」で見た時にどんどんコスパが悪くなっていきます。このコスパの段差が大きくあわられるのが「RTX 3070 Ti SUPERとRTX 3080」と、「RTX 3080 SUPERと RTX 4090」です。
よって、コスパで選べる上限は4070 Ti SUPERだと考えています。ですこれ以上のスペックが必要な場合は、自分の用途と個別に照らし合わせて検討することをおすすめします。
具体的な製品名を挙げると、4070 Ti SUPER、4070 SUPER共に「玄人志向 GALAKURO」シリーズが執筆時点ではトップクラスに高コスパなモデルになっています。
価格だけを見るとドスパラで販売されているPalit製グラボはもう少し安いことがあります。入荷が不安定であることとサポートの簡素さを理由に初心者向けとしてはおすすめから除外していますが、検討の価値アリです。
【エントリークラスから万人向けのミドルレンジへ】5万円前後のグラボならRTX4060Ti 8GBがコスパ良好
5万円前後の価格帯は、FHD画質での3Dゲームやクリエイティブ作業の大半で活躍するグラフィックボードで、大半のユーザーにとって十分な性能です。
製品 | 価格帯 | おすすめ | RTX3050と比べて | RTX1650と比べて | |
---|---|---|---|---|---|
RTX4060Ti 8GB | 5.8万円〜 | おすすめ | 約1.8倍の性能 | 約2.9倍の性能 | Amazonで探す |
RTX 4060 | 4.4万円〜 | 約1.5倍の性能 | 約2.5倍の性能 | Amazonで探す | |
RTX 3070 | 6.0万円〜 | 約1.7倍の性能 | 約2.8倍の性能 | Amazonで探す | |
RX7600XT | 5.2万円〜 | 約1.4倍の性能 | 約2.3倍の性能 | Amazonで探す | |
RX6700XT | 5.5万円〜 | 約1.4倍の性能 | 約2.4倍の性能 | Amazonで探す |
GTX1600番台やRTX2000, 3000番台のエントリーモデルである2060, 3050あたりを使っているユーザーならこの価格帯のグラボへの買い替えでも性能の向上を実感できるはずです。
記事を執筆している2024年春時点ではRTX4060Ti 8GBコスパ良好でおすすめ。
具体的な製品名を挙げるとMSIのVENTUSシリーズが執筆時点では最も高コスパなモデルになっています。
筆者が購入したのはRTX 4070 Ti SUPER
筆者はblenderを使った3DCGの学習や複雑な4Kでの映像制作を目的にRTX3070からRTX 4070 Ti SUPERに交換しました。レンダリング作業がかなり快適になりました。
MSIの製品を購入しましたが、現在は高価になっています。執筆時点でRTX 4070 Ti SUPERを導入するなら、玄人志向が安価でおすすめしやすいです。
グラボの交換作業
グラボの交換作業はとても簡単です。
- 最新のドライバをインストールしておく
- 電源を切ってコンセントを抜く
- 既存のグラフィックボードを抜く
- 新しいグラフィックボードを挿す
1. 最新のドライバをインストールしておく
交換作業に入る前に、グラフィックボードのドライバを最新版にしておきましょう。新しいグラフィックボードに対応したドライバをインストールしていないと、交換後に画面が映らない不具合が起きる可能性があります。
- nVidiaのグラフィックボード(GTX, RTXシリーズ)に交換する場合は、「GeForce Experience」から更新可能です。
- AMDのグラフィックボード(Radeonシリーズ)に交換する場合は、「AMD Software」から更新可能です。
2. 電源を切ってコンセントを抜く
PCを開いて作業に入る前に必ず電源を切ってコンセントを抜き、数分待ちましょう。
静電気でビリっとくる程度なら良いのですが、時にPCパーツの故障の原因になります。
3. 既存のグラフィックボードを抜く
今挿さっているグラフィックボードを取り外します。まず、画像のように手前側にグラボを固定している柱がある場合はドライバーなどで取り外します。
グラフィックボードを固定しているネジは背面側、画像の場所にあります。
カバーを外したらグラフィックボードを固定しているドライバーで外します。
ネジを外したらグラフィックボードを挿している根本にあるレバーを押し込みます。これでグラフィックボードを抜けるようになりました。(製品によっては押し込むのではなく横にスライドさせる形式のものもあります。)
ゆっくりとまっすぐ引き抜きます。
4. 新しいグラフィックボードを挿す
新しく購入してきたグラフィックボードを挿す作業は、抜く作業と逆の順番で進めるだけで大丈夫です。
1箇所だけで確認する必要があるのは背面のネジ止め部分。背面のネジは複数個連なっていますが、グラフィックボードの厚みによってネジ止めする必要のあるネジの数が異なります。グラフィックボードのネジ止め部分に合わせて事前時ネジを抜いておきましょう。
グラフィックボードを取り付けられたらPCが正常に起動することを確認して作業完了です。お疲れ様でした!
ガレリアの他パーツ(メモリー・SSD・HDD増設、CPU・ケース換装)についても別記事で解説しています
当ブログではガレリアに搭載された各パーツをアップグレードする方法やパーツの選び方について初心者向けに分かりやすく、かつ簡潔に解説しています。