マイクロ法人のノウハウ

マイクロ法人に税理士は不要か。実際に税理士なしでマイクロ法人を1年運営した感想

マイクロ法人に税理士が必要なのかという問題は恐らく多くの人が悩んでいることだと思います。自分がそうでした。

僕は実際に2021年にマイクロ法人を設立し、1年目の決算・法人税申告税まで全てを税理士無しで終えました。実際に税理士無しでマイクロ法人を運営する中で面倒だったこと、問題なかったことをこの記事にまとめます。

マイクロ法人税理士を雇うとしたら理由はざっくり2つ。一つは「①節税の計算まわり」、もう一つは「②会計や申告などといった必要な作業の処理」。

この2点が自分でできるかどうか、もしくは時間に合うというのが問題です。①②について順に経験と見解を共有します。

①マイクロ法人の節税に関する情報はネット上に溢れている

マイクロ法人で節税するためのお金のコントロールの仕方ついては、金融教育系のインフルエンサーがここ数年で増えたおかげで有用な情報がネット上にたくさん転がっています。

僕自身も払うべきすべての税金と社会保険料などの節税に関する全ての情報と計算の仕方をネット上で得ることができたと自覚しています。

専門家の第三者に評価してもらった訳ではない以上、100点満点の節税が絶対できたとは言い切れないものの、払うべきすべての税金と社会保険料は網羅した上で、社宅や出張旅費手当など基本は抑えたので80点の節税はできているはず。

実際に1年目の決算申告&納税を終えた結果を振り返る中で、「残りの20点」は節税の情報を知るためにかかる費用(手間や税理士の助言にかかるお金)を考えると回収する必要がないものだと判断しました。

自分の会社の決算について具体的な数字を出すわけにも行かないので少し抽象的な説明になっています。とりあえず言えるのは、コレ以上節税してもそんなに絞るほどの額が残っていないということです

とはいえマイクロ法人の運営について調べるにはある程度の労力は必要。もしあなたがマイクロ法人のことを知ったばかりで「具体的にこんな方法で節税ができます」「経理を進めます」といった情報をまだ集めていないなら、これからネットで情報を調べる時間分を節約するためにを税理士を活用する検討の余地が残るとは思います。

②マイクロ法人はやることが個人事業主とは比にならないくらい多い

そもそも税理士に頼むタスク(頼まないなら自分でこなす必要があるタスク)はどれくらいあるのか。

1年間でこれだけのことをこなす必要があります。(4月に法人を建てた場合を想定)

  • 【毎月】会計の入力・給与の支払い・社会保険料の納付(年金+健康保険)
  • 7月:算定基礎届・源泉所得税納付
  • 1月:年末調整・源泉所得税納付
  • 4月:決算申告・法人税納税

会計の入力はもちろん必要。これはクラウド会計ソフトで簡単です。

給与は毎月同じ日に同じ額を振り込む必要がありますが、これは銀行で定期振り込みの設定をしておけば大丈夫ですね。

面倒なのはそれ以降。ひとつひとつ順番に解説します。

【毎月】社会保険料の納付は簡単だが毎月の対応が必要。振替も一応あるが・・・

まず社会保険料の納付。作業量は多くなく、ネットで調べれば自力で十分対応できます。

社会保険料は毎月納付する必要があるのですが、その方法は大きく分けて2種類。

1つ目は「口座振替」、2つ目は「ペイジーや銀行振り込み等で都度納付」です。(日本年金機構ならこのページに説明が載っています。)

1.口座振替

口座振替にすれば自動で勝手に払い込めるのですが、口座振替に対応している法人口座は一部のメガバンクのみとなっています。

従業員数1名、資本金1円〜数十万円、住所はバーチャルオフィスを使っているようなマイクロ法人の場合、まずメガバンクの審査は落ちます。仮に審査が通ったとしても口座維持費が有料で月間2,000円ほどかかるのが普通なので、ミニマルに運営したいマイクロ法人には辛いです。

2.ペイジーや銀行振り込み等で都度納付

となると残るは自分で納付です。毎月末25~29日に納付番号が入った封筒が届く度に納付することになります。公式には20日前後に届くと説明されることが多いですが実際はもっとギリギリ。

納付期限は月末。納付書が届くのはただでさえギリギリなのにバーチャルオフィスに封筒を取りに行くというクッションも必要。クソ面倒。

そもそもこれは税理士に頼めるものでもないのでマイクロ法人の宿命といったところでしょうか。

一度だけ期限を守れず、翌月頭に振り込んだことがあるのですが、特にお咎めはありませんでした。本来は、もし納付遅れることがあれば年金事務所に連絡しておくと安心です。

【7月】1年間の社会保険料を決める「算定基礎届」はとても簡単

社会保険料は給与の額に比例して多くなりますよね。「算定基礎届」は社会保険料の料率を決めるために自分含めた従業員の給与を伝える書類。毎年7月頭までに提出します。

必要書類は少なく提出はとても簡単なものです。

【7月・1月】源泉所得税納付

7月1月の源泉所得税は本来毎月納付するものですが、従業員が10人以下の法人は事前に申請することで年2回(7月と1月)まとめて納付することを許してもらえます。助かる。年2回にしてもらうのにするのは「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することだけでなので自力で簡単に用意できます。

マイクロ法人を運営する方は源泉所得税が0円になるように自分に対して給料を支払っている方が多いと思います。自分もそのうちの一人ですが、源泉所得税の納付が不要の法人でも書類の提出は必要なので要注意。

必要書類は数枚程度。ネットの情報を拾いながら自力で解決できる範囲ですが、ちょっと面倒です。

【1月】年末調整

年末調整はやることが増えます。所得の源泉徴収票等の法定調書、給与所得の源泉徴収票、基礎控除申告書等々用意するものがかなり多いのである程度まとまった時間は確保するべきです。

ネット上に情報は多く転がっており、自力での作業は一応可能。

僕は調べて1年目の年末調整を自力でやりきってしまったので来年以降は楽に進められるとは思いますが、『初めての』年末調整であれば税理士の力を借りて来年以降は自力でやった方が効率はいいのかなと思いました。

【4月】法人決算・法人税申告

コレが地獄

15枚くらい書類が必要。記入事項もとても多く、参照する数字を探すのもとてつもなく面倒。さらにネット上で検索しても、自力で法人税申告の書類をまとめるための体系的な情報がまとまっていません。その代わりにだいたいどのサイトも「税理士を使え」もしくは「専用のサービスを使え」と言ってきます。

自力は無理です。

即諦めて決算申告のための税理士かサービスがないか探した結果、僕が会計に使っていたクラウド会計ソフトの「freee会計」に別料金で「freee申告」なるサービスがあったのでこれで済ませました。

【結論】税理士は基本不要。法人税申告の対策は必須。

事実、実際に税理士なして1年間マイクロ法人を運営することはできてしまいました。

自力で書類をまとめるための情報は十分散乱しており、法人税申告以外は十分にこなせます。会計はクラウド会計ソフトに入力していくだけで問題なく決算まで持っていけます。僕は一応簿記3級相当の軽い勉強はこなしていますが、特に知識の出番はありませんでした。

  • ネットで調べれば自力でほとんどのタスクはこなせるが、年末調整は面倒、そして法人税申告は複雑すぎて自力ではムリ。
  • ただ、法人税申告を簡単に済ませるための有料ソフトは用意されている。
  • 何もわからない1年目だけ税理士の力を借りて、2年目以降は1年目の書類を参考に自力で進めると時間効率は良かったかも?

税理士を使わず自力でこなすならfreee会計+freee申告が多分ベスト

しかし法人税申告だけは完全自力ではできず、法人税申告向けのサービスを使った形。

法人税申告のためのサービスは多数販売されており、「全力法人税」「税理士いらず」あたりは特に有名。

結局僕は会計に使っていたfreeeが別料金サービスとして出している「freee申告」を使いました。

調べた限り、クラウド会計ソフトで法人税申告まで対応できるのは2022年4月時点でfreeeと弥生会計。マネーフォワードは対応していません。freeeと弥生会計で値段を比べるとfreeeのほうが安上がりなので、現時点の最善策はfreee会計とfreee申告の組み合わせに落ち着きました。

freee申告公式ページ

マイクロ法人の会計ソフトについて1年運用した所感やfreeeの良し悪しについては以下の記事で共有しています。

エクスポート・インポートの作業が必要な分面倒にはなるものの、freeeから全力法人税にデータを取り込んで使うこともできるらしいので、来年度の決算記事に時間の余裕があれば試してみる予定です。

マイクロ法人を活用しようと考えている皆さんの参考になれば幸いです。

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