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マイクロ法人のノウハウ

マイクロ法人に税理士は不要か。実際に税理士なしで2年運営した感想【注意点・費用】

できるだけ支出を最低限に抑えたいマイクロ法人に税理士が必要なのかという問題は恐らく多くの人が悩んでいることだと思います。自分がその一人でした。

僕は実際に2021年にマイクロ法人を設立し、2年目の決算・法人税申告税まで全てを税理士を使わずに終えました。この経験を踏まえて、税理士を使わずにマイクロ法人を運営するのに必要な作業やその良し悪し、見つかった問題とその対策方法をまとめて共有します。

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まぐです。フリーランスとしてデザインや映像を扱っています。マイクロ法人を実際に立ち上げ、税理士に頼らず運用中。

税理士の代わりに自分がやらなければならないこと

実際に2年間マイクロ法人を運営した経験を振り返ると、税理士の変わりに自分がやらなければならないことはざっくり2種類に分けられました。

  • 税理士を使わない場合に自分でやること
    • 【知識】や節税の知識を自分で身につけ、実行する
      • 社会保険料や所得税を元にした最適な役員報酬の設定
      • 社宅の設定
    • 【実務】書類の作成や申告をする
      • 算定基礎届や決算書などの作成作業
      • 法人税などの申告作業など

上に挙げた他に、帳簿付けなどの単純作業もお金を多く払えばで税理士にお願いできます。しかし、マイクロ法人の目的の一つは出ていくお金を減らすことです。仮に税理士を使ったとしても帳簿つけは自力で会計ソフトに入力して費用を減らすようにするでしょうから、今回は外しました。

上にまとめた2種類のことが自分でできるかどうか、もしくは時間の割に合うかというのが問題です。①②について順に経験と見解を共有します。

自分でやること①【知識】運営や節税の知識を自分で身につけ、実行する

マイクロ法人の目的のひとつとして、ほとんどの人が「節税」を挙げるでしょう。しかし、具体的にどうやったら節税できるのか知らないことには行動に移すことはできません。

そこで最初に出てくる疑問は、節税のノウハウを発揮するために税理士は必要か、不要か、ということです。

運営の知識はネットで集められる

マイクロ法人で節税するための情報は、幸いなことに有用な情報がネット上にたくさん転がっています。金融教育系のインフルエンサーがここ数年で増えたおかげです。

年の利益が300〜800万円程度のマイクロ法人ならリベ大の動画1本で概要はカバーできます

出張旅費手当も動画一本でだいたいOK。具体的な出張旅費の規定作成はググれば作例や雛形がたくさん出てきます。

ただし、情報が古かったり、僕のような専門家とは呼べない人の発信もあることには要注意。ネット上の情報を全てをそのまま鵜呑みにはせず、必ず行政の公式サイトで最終確認をする必要があります。

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僕の経験上、マイクロ法人運営のためにブロガーやYoutuberから集めた情報は、内容が古かった場合を除くとほぼ全てが行政の公式情報と一致していました。本当に便利な時代です。

しかし、中には出張旅費手当の金額の設定など答えが決まっていないものもあります。こういったものはよく言われている目安の金額より少しだけ余裕を持った設定をしました。

「最初から行政のホームページを見れば良いのでは?」という考えもあると思います。しかし、大抵の場合はブロガー/Youtuberがまとめた情報のほうが分かりやすかったので、以下の2ステップで調べ物をするのが一番効率的だというのが現時点での結論です。

  • GoogleやYoutubeで検索して各発信者の情報を集める
  • 行政のサイトで信憑性を確認する

税金と社会保険料など、会社の運営で必ず必要な費用と僕の所得に関する情報はこのやり方ですべてカバーできました。

一方で問題となるのは、各種補助金や出張旅費手当、社宅など、会社の運営で「必須ではない」制度についてです。これらは税理士を契約していれば教えてもらえるでしょうが、個人だと知らないことには調べようもありません。これについて次の項目で解説します。

運営に必須ではないが知っていると活用できる制度や補助金をすべてカバーするのは面倒

税金や申請まわりの情報は簡単に集まるのですが、法人の運営に必須ではない補助金(IT導入補助金など)などの情報は、知らないことには調べようもありません。税理士と契約していたら有用な制度を紹介してもらえるでしょうから、ここにかかる手間は税理士を使わないで運用する際のデメリットになります、

ただし、年間の利益が数十万円〜200万円程度のミニマルなマイクロ法人であれば補助金や制度を使う余地の無いケースが多いです。そうであれば、知らなくても大きなマイナスにはなりません。

こういった情報にリーチしたいのであれば、「マイクロ法人 補助金」「一人社長 節税」といったワードで定期的に検索をかけるのが最もシンプルな対策です。もしくは、積極的にマイクロ法人運営の情報発信をしているインフルエンサーのフォローをしてもいいかもしれません。

参考までに、僕がフォローしているチャンネルを2つ紹介しておきます。

1つ目は、上でも紹介した「社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】」
節税にまつわる具体的な制度やスキームの使い方を多数紹介しています。

2つ目は、「税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士」
期限のある補助金制度も取り上げています。

自分で法人運営の知識は得られる。ただし手間はかかるので、初年度だけ税理士の力を借りるのはアリ。

専門家の第三者に評価してもらったわけではない以上、100点満点の節税が絶対できたとは言い切れません。

しかし、払うべきすべての税金と社会保険料は網羅した上で、節税の基本として有名な社宅や出張旅費手当は抑えています。自分の会社の決算についてこの記事で具体的な数字を出すわけにもいかないので抽象的な表現になってしまうのが申し訳ないのですが、100点満点中少なくとも80点以上の節税はできているはずです。

なぜなら、これ以上節税してもそんなに絞るほどの額が会社に残っていないのです。残りの20点を取りに行ったところで、節税できる額が税理士に支払う報酬の割りに合わないということは確実に言えます。

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残りの20点は、節税の情報を知るためにかかる費用(手間や税理士の助言にかかるお金)を考えると回収する必要がないものだと判断しました。

とはいえ、マイクロ法人の運営について調べるには労力は必要なのは事実。あなた自身の労働力は無料ではありません。

マイクロ法人についてまだ知識が十分でない状態であれば、初年度だけ税理士に相談しながら進めて、二年度以降は状況に応じて自力での運営に移行していくのが一番効率的だったかもしれないとは感じています。

自分でやること②書類の作成や申告の作業

書類の作成や申告の作業
マイクロ法人はやることが個人事業主とは比にならないくらい多い

法人の運営に必要な書類や申請は個人事業主とは比べられない多さ。これらを税理士に頼まず自分でこなせるのか、というのが大きな問題点です。

そもそも税理士に頼むタスク(頼まないなら自分でこなす必要があるタスク)はどれくらいあるのでしょうか。

1年間の中でこなす必要があることを以下にまとめました。今回は4月に法人を建て、3月に決算する場合を想定しています。

  • 毎月】会計の入力・給与の支払い・社会保険料の納付(年金+健康保険)
  • 7月:算定基礎届・源泉所得税納付
  • 1月:年末調整・源泉所得税納付・ある場合は固定資産申告
  • 4月決算申告・法人税納税

上に挙げた中で簡単なものもあります。会計の入力は個人事業主と同じようにクラウド会計ソフトで簡単に処理できます。給与は毎月同じ日に同じ額を振り込む必要がありますが、これは会社で契約した法人銀行で定期振り込みの設定をしておけば大丈夫ですね。

面倒なのはそれ以降。ひとつひとつ順番に解説します。

【毎月の面倒な作業】社会保険料の納付は簡単だが毎月の対応が必要なのが面倒。振替も一応あるが・・・

まず社会保険料の納付。作業量は多くなく、ネットに頼らずとも年金事務所から送られてくる書類の説明通りに進めれば自力で十分対応できます。

社会保険料は毎月納付する必要があるのですが、その方法は大きく分けて2種類。

1つ目は「口座振替」、2つ目は「ペイジーや銀行振り込み等で都度納付」です。(日本年金機構ならこのページに説明が載っています。)

1.口座振替

口座振替にすれば自動で勝手に払い込めるのですが、口座振替に対応している法人口座は一部のメガバンクのみとなっています。

従業員数1名、資本金1円〜数十万円、登記住所はバーチャルオフィスのマイクロ法人の場合、メガバンクの審査はほぼ落ちます。仮に審査が通ったとしても口座維持費が有料で月間2,000円ほどかかる銀行もあり(イオン銀行など)、ミニマルに運営したいマイクロ法人には厳しいです。

2.ペイジーや銀行振り込み等で都度納付

残す手段は自分で納付する方法です。毎月末25~29日あたりに納付番号が入った封筒が届くので、これを使って毎月手動で納付することになります。公式には20日前後に届くと説明されることが多いですが実際はもっとギリギリ。

納付期限は月末。納付書が届くのはタダでさえギリギリなのにバーチャルオフィスに封筒を取りに行くという作業もワンクッション必要。とても面倒。

しかし、そもそもこの作業は税理士に任せられるものでもなく、自分でこなす必要のある作業です。マイクロ法人の宿命といったところでしょうか。

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一度だけ期限を守れず、翌月頭に振り込んだことがあるのですが、特にお咎めはありませんでした。もし納付が遅れることがあるなら事前に年金事務所へ連絡しておくと安心です。

マイクロ法人の法人口座選びについてはこちらの記事でまとめています。初めて法人を立ち上げる方が見落としやすいポイントもあるので注意が必要です。

【7月の届け出】1年間の社会保険料を決める「算定基礎届」はとても簡単

社会保険料は給与の額に比例して多くなるもの。「算定基礎届」はその社会保険料の料率を決めるために自分含めた従業員の給与を伝える書類です。毎年7月頭までに提出します。

必要書類は少なく提出はとても簡単なものなので、自力でも十分こなせます。

【7月・1月の納付】源泉所得税納付マイクロ法人なら年1回だけ

7月1月の源泉所得税は本来毎月納付するものですが、従業員が10人以下の法人は事前に申請することで年2回(7月と1月)まとめて納付することを許してもらえます。助かる。納付の回数を年2回にするためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があるのですが、これは自力で簡単に用意できます。

マイクロ法人を運営する方は源泉所得税が0円になるように自分に対して給料を支払っている方が多いと思います。自分もそのうちの一人ですが、源泉所得税の納付が不要の法人でも書類の提出は必要なので要注意。

必要書類は数枚程度。ネットの情報を拾いながら自力で解決できる範囲ですが、ちょっと面倒です。

【1月】年末調整は自力でもできるが1回目は面倒

年末調整はやることが増えます。所得の源泉徴収票等の法定調書、給与所得の源泉徴収票、基礎控除申告書等々用意するものがかなり多いのである程度まとまった時間は確保するべきです。

ネット上に情報は多く転がっており、自力での作業は一応可能。

僕は調べて1年目の年末調整を自力でやりきってしまったので来年以降は楽に進められるとは思いますが、正直かなり面倒に感じました。『初めての』年末調整であれば税理士の力を借りて、来年以降は自力でやった方が効率はいいかもしれません。

【4月】法人決算・法人税申告はかなり難しい

『『コレが地獄。』』

15枚くらい書類が必要。記入事項もとても多く、参照する数字を探すのもとてつもなく面倒。さらにネット上で検索しても、自力で法人税申告の書類をまとめるための体系的な情報がまとまっていません。その代わりにだいたいどのサイトも「税理士を使え」もしくは「専用のサービスを使え」と言ってきます。

色々と調べましたが、自力では無理だというのが僕の結論です。

自力で済ませることを諦めて決算申告のための税理士やサービスを探した結果、僕が会計に使っていたクラウド会計ソフトの「freee会計」に別料金で法人税申告ができる「freee申告」があったので、これで済ませることができました。

freee申告の利用料は2万円ほど。税理士に頼むのと比較すれば圧倒的に安上がりです。会計をfreee会計でやっていれば連携もできるので助かります。

【結論】マイクロ法人運営に税理士は必須ではない。ただし決算と法人税申告の対策は必要。

事実、実際に税理士なしでマイクロ法人を2年間運営することはできてしまいました。

情報集めから、書類作業や申告作業も殆どはこなせましたが、唯一難しかったのは法人税申告。これを僕の場合はfreee申告を使うことで解決しています。

税理士を使わず自力でこなすならfreee会計+freee申告がベスト

法人税申告のためのサービスは多数販売されており、「全力法人税」「税理士いらず」あたりは特に有名です。こういったサービスは帳簿の取り込みでワンクッションあるので、できたらクラウド会計ソフトの中だけで完結したいところです。

調べた限り、クラウド会計ソフトで法人税申告まで対応できるのは2022年4月時点でfreeeと弥生会計。マネーフォワードは対応していません。freeeと弥生会計で値段を比べるとfreeeのほうが安上がりです。

よって、マイクロ法人を税理士を使わずに運営したい際に現時点の最善策は「freee会計」「freee申告」の組み合わせです。

freee会計 公式サイト

マイクロ法人で使う会計ソフトの機能/価格プラン比較と実際に1年運用した所感は以下の記事で詳しく取り上げています。freee申告まで扱っているので参考にどうぞ。

マイクロ法人の立ち上げ〜初年度までを税理士に依頼するのが効率的だったと反省

忘れてはいけないのが、自分の時間もタダではないということ。

税理士無しで法人を立ち上げた1年目は運営について丸一日調べたり、書類と格闘する日が何度もありましたこれが2年目の作業になると、1年目の知識を使えるので体感1/3以下の作業量になりました。

今振り返ると、立ち上げ〜1年目は税理士を使って、二年目以降を自力で進めたほうが効率的だったと考えています。

税理士ドットコムなどといったサービスおかげで税理士を探せるハードルはそれほど高くないので、早いうちに問い合わせだけでもしてみて自分のマイクロ法人に合わせた費用感を聞いてみるのがいいかもしれません。

マイクロ法人を活用しようと考えている皆さんの参考になれば幸いです。

税理士ドットコム公式サイト

まとめ

  • ネットで調べれば自力でほとんどのタスクはこなせるが、年末調整は面倒。そして法人税申告は複雑すぎて自力ではムリ。
  • ただ、法人税申告を簡単に済ませるための有料ソフトは用意されている。
  • 何も分からない1年目だけ税理士の力を借りて、2年目以降は1年目の書類を参考に自力で進めると時間効率は良かったと反省。
  • この記事を書いた人
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まぐ

デザインや映像をを独学で勉強中の20代。新卒でそのままフリーランスに。自分一人でで何でも作れるようになりたいです。

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