ドコモから新料金プランahamoが登場して、既存プランの料金と比較してかなり安価になっていることが話題になりました。そこで比べられるのが格安SIM、MVNOです。
格安SIMの中でも特に勢いがあり、ドコモの新プランahamoが意識した相手だとも言われている楽天モバイル UN-LIMIT V の内容を比較して、どちらがどのように優れているのかを調査してきたので、この記事で共有します。
記事の内容は執筆時点のものであることにご注意ください。
追記:楽天モバイルが2021年1月29日、新プランを発表しました。この記事は発表前の情報になります。発表後のものは後日まとめる予定です。

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楽天モバイルとahamoのプランの違いをザッと確認
まずは両者の違いを表にまとめました。各プランの有利な要素に黄色マーカーを引いています。
楽天モバイル | ドコモahamo | |
---|---|---|
税抜2,980円 | 料金 | 税抜2,980円 |
一部エリア無制限 エリア外5GB(後述) | データ容量 | 20GB |
1Mbps制限 | 容量超過後 | 1Mbps制限 |
500円/1GB | 容量追加購入 | 500円/1GB |
発展途上 楽天独自回線5G+4G &各社の回線間借り | 帯域 | 高品質 ドコモの5G+4G |
専用アプリ利用でかけ放題 | 電話 | 5分まで無料 (+1,000円でかけ放題) |
可能 | 海外ローミング | 可能 |
なし | 2年契約など条件 | なし |
無料 | 事務手数料 | 無料 |
1%~の楽天ポイント | ポイント還元 | 1%のdポイント |
あり | 実店舗によるサポート | なし |
なし | キャリアメール | なし |
一部機種/制限あり(後述) | iPhone対応 | 未発表(後述) |
新規契約で1年無料 | 割引キャンペーン | 未発表 |
あり(後述) | 端末購入キャンペーン | 未発表 |
両者海外ローミングに対応していますが、コレを多用するのは限られた人たちなので、今回は海外利用を除外して考えます。
最も大きな違きな比較対象になる「データ容量」「電話料金」には両者に大きな差
スマホのプランでまず最初に注目されるのが「データ容量」と「電話料金」の体型でしょう。これについて楽天モバイルとahamoを比較した時に言えるのが、
「データ容量と電話料金について全くプラン内容が異なるが、どちらが有利になるかは人による」ということ。
「一部地域限定の無制限」と「月あたり20GB」、どちらを取るか
楽天モバイル | ahamo | |
---|---|---|
一部エリア無制限 エリア外5GB | データ容量 | 20GB |
データ容量に関して言えば、楽天モバイルは自社回線範囲内に限り無制限です。ただし現状では自社回線の範囲は狭く、範囲外では他社の電波を借りることになります。他社回線でつかえるのは5GB/月までで、超過すると1Mbpsの制限がかかります。
現在の楽天回線対応エリアと将来の対応予定エリアはこちらの公式ページで確認できます。
例えば対応範囲が最も広い関東でも以下のような感じ。

濃いピンク色が2020年12月時点での対応範囲。紫色が2021年2月までに対応する予定範囲。ちなみに薄いピンク色は他社回線。
楽天の回線は人口が特に密集しているエリアに限られていることが分かります。
一方でドコモは場所に関わらないかわりに一律で20GB。5GBより多く、かと言って無制限でもなく。
それぞれにメリットとデメリットがありますね。田舎に住んでいるのでいたり、出張などで移動が多いのであればドコモが使いやすいでしょうし、楽天回線エリア内で生活・通勤通学しているのであれば楽天モバイルのの方が大量の通信を行えます。
そもそも月に5GB以上使わない人も多いでしょう。そうであれば、他の要素で判断することになります。
楽天モバイルの回線は現在急速に整備中で、2021年夏までに人口の96%の人たちに電波が届くようにしたいと言っています。今までの携帯プランなら「楽天を契約して2年縛り期間のうちにエリアが広くなることに期待しよう」といった契約の仕方もあったかもしれませんが、今ならその必要はありません。楽天モバイルにもahamoにも2年縛りはもうありませんから。
- 月々のデータ量が5GB以内なら、両者の差異は少ない
- 20GB以上使うなら、都会(楽天回線エリア内)で生活・通勤通学していることを条件に、楽天モバイルが有利
- 田舎暮らし(楽天回線エリア外)で5GB以上使うなら、ahamoが有利
楽天モバイルは電話かけ放題、ahamoは5分まで。
楽天モバイル | ahamo | |
---|---|---|
専用アプリ利用でかけ放題 | 電話料金 | 5分まで無料 (+1000円でかけ放題に) |
電話/SMSは楽天モバイルであれば専用アプリ「RakutenLink」を経由するだけで無料です。
一方、ahamoは5分まで無料で、5分を超える通話は20円/30秒が加算されます。ちなみにSMSは3円。
ほとんどの人は5分以上の通話をすることは無いだろうと思われるので、通話料金で両者に差異を感じる人はごく一部の方でしょう。
- 1度に5分以上通話しないなら、両者の差異は少ない
- 5分以上通話するなら、かけ放題の楽天モバイルが有利
- ただし、通信の品質を重視するならその限りではない。(後述)
数字には見えない盲点「通信の品質」を考える

xGBとか、月々何円だとか、数字で分かりやすく見える要素以外にも考えておくべき両者の違いがあります。
これは通信の品質です。
たとえば、「屋内に電波が入りやすいか」、「通話に雑音が入らないか」といった違いのこと。
「プラチナバンド」という言葉を聞いたことはありますか?「バンド」は電波(周波数)のことで、プラチナバンドというのはざっくりいうと「繋がりやすい電波」だと思ってもらえれば大丈夫です。
ahamoで利用するドコモの回線はプラチナバンドが利用されており屋内で繋がりやすい、雑音が入りにくいといった恩恵を受けられるのですが、楽天モバイルの独自回線ではドコモが使っている強力なプラチナバンドが利用されていないため、屋内に入ったら電波が途切れたり、通話の音声が悪くなったりしやすくなります。
通信品質【まとめ】
- ahamoの電波は品質がよく、屋内での繋がりやすさや通話の品質に分がある。
- 楽天モバイルの電波品質はahamoと比較すると弱みになる。
(本当は専門的な説明が必要な分野なのですが、回線選びに必要なことを理解できるように噛み砕いて説明しています)
ahamoは実店舗でのサポートがない
楽天モバイル、ドコモともに実店舗を持っていますが、ahamo契約者は実店舗でサポートを受けることができません。
若い世代のほとんどの人にとって実店舗は使わないものになっているので問題ないと思われますが、ご高齢の方からすると困ることもあるでしょう。
サポートの必要な実家の両親や祖父母には楽天モバイルを使って貰おう!といった場合でも、単純に店舗数の少ない楽天モバイルが生活圏にあるとは限らないので、事前の確認は必要です。
実店舗サポート【まとめ】
- ahamoは実店舗でのサポートを受けられない
- 楽天モバイルなら実店舗はあるが、店舗数そのものが少ないことに注意
iPhoneの対応状況「楽天モバイルは微妙」「ahamoは未公開だが後ろ向き」

多くの人が気になるであろう、iPhoneの対応状況について。
楽天モバイルの対応機種はこちらのページで確認できます。
利用できない機種も少なくなく、仮に利用できたとしても機能が制限されている場合が多いことが分かります。
ahamoの場合はどうでしょう。公式に対応機種は発表されていないのですが、記者会見内でiPhoneについて言及されたタイミングでは「できるだけ多くの機種に対応したい」といった旨の回答で濁されていました。あまり期待をしすぎずに公式発表を待つくらいが丁度いいでしょう。
- 楽天モバイルは公式ページから対応機種を確認できるが、制限多め。
- ahamoはまだ公式発表がないが、あまり明るく捉えられない状況。
楽天モバイルにはかなり手厚い還元キャンペーンが用意されている
楽天モバイル、執筆時点ではキャンペーンで「新規契約で1年間タダ」になります。
もう一度言います。
一年間タダです。
このあたり楽天モバイルはかなり分かりやすいベネフィットです。ahamoがこれからキャンペーンを打ち出せば、ここも比較のポイントになるでしょう。
(1年間無料は先着300万名のみ対象ということなので判断はお早めに)
その他、楽天モバイルはお得になるキャンペーンや要素があります。
新規契約で8,000円相当分ポイント還元&新規契約でスマホも購入すると最高20,000円相当分ポイント還元
2020年12月8日8:59まで。
新規契約で楽天ポイントが8000円分もらえます。ついでにスマホも買えば追加で。
例えば、Androidスマホ「OPPO A5 2020」を買えば、本体価格20,219円に対して8,000円還元+スマホ購入還元が10,500円がついて23,000円還元されるので、感覚的にはスマホがもらえる上になぜか追加で3,000円くらい貰えます。頭おかしいでしょこれ。
携帯料金を楽天経済圏で支払える
楽天のサービスなのでもちろん楽天経済圏の中に入ります。
楽天モバイルのポイント倍率は+1倍です。
(楽天経済圏について知らない方向けの記事はまた改めて書きます。)
楽天モバイルでは常に何かしらのキャンペーンをやっているようなので、定期的に確認してもいいかもしれません。こちらのページでまとめて確認できます。
【まとめ】楽天モバイルとahamoのプランにハッキリとした優劣はつけられない。その人の用途や置く重点によって判断が変わる絶妙な差異。
ここまで、出揃っている情報をもとに楽天モバイルとahamoのプランを比較しました。それぞれの要素に強み・弱みがあり、使う人の用途によって優劣が変わるものでした。
何より楽しみなのは、この状況を見てのau/softbankの動きですね。ドコモと足並みを揃えたようなプランを出すのか、それとも特徴を出して一定の層に刺さるようにするのか、今後の動きが楽しみです。